EIZO/映像で医療の「みる」を支える
高品質・高機能の映像機器及びシステム・サービスによるソリューションをヘルスケア市場に提供しているEIZOは、ITEM2025において「Making Each Life Visual 映像で医療の“みる(見る・視る・診る)”を支える」をテーマに掲げ、ニーズに応える映像環境の構築・提案について、実機を展示しながらデモンストレーションした。コーナーとしては、品室管理ソリューション、業務効率化ソリューション、読影支援ソリューション、マルチモダリティのハイブリッド表示、ブレストイメージング、操作室などで構成。また、EIZOの環境対応における取組みをパネル展示でアピールした。
●病院の医療相談コーナーをイメージした品室管理ソリューションのコーナーを設置
EIZOのブースで最も大きな面積を占めていたのは、品室管理ソリューションのコーナーだった。昨年7月に厚生労働省の告示で「GSDFキャリブレーション機能付き画像診断用ディスプレイ」が特定保守管理医療機器に指定されたことから、医療機関では画像診断用モニターの品質管理に改めて注目している。EIZOではこれに対応し、昨年10月に階調特性をDICOM規格のGSDF(Grayscale Standard Display Function:グレースケール標準表示関数)に準拠するよう調整した3メガピクセルの「RadiForce RX370DD」を発表。モニター品質管理ソフトウェア「RadiCS」を同梱し、内蔵キャリブレーションセンサー(IFS: Integrated Front Sensor)と合わせて使用することで、GSDF準拠の定期的な品質維持管理を実現する。また、昨年11月には5メガピクセルの「RadiForce RX570DD」を発表し、さらに本年4月には12メガピクセルの「RadiForce RX1270DD」、8メガピクセルの「RadiForce MX317WDD」、6メガピクセルの「RadiForce RX670DD」、2.3メガピクセルの「RadiForce MX243WDD」、高輝度2メガピクセルの「RadiForce RX270DD」、標準輝度2メガピクセルの「RadiForce MX217DD」、1メガピクセルの「RadiForce MX194DD」という7機種をリリースして、GSDF準拠の画像診断用モニターを計9機種のラインアップに拡充した。
品室管理ソリューションのコーナー前面では、9年以上使用した画像診断用モニターと最新の「RadiForce MX217DD」を並べて、一目で画像の劣化が分かるように展示。その背後には病院の医療相談コーナーをイメージした4つのモニター品質管理相談コーナーを設け、専門スタッフによる個別コンサルティングを実施する。また、EIZOでは「RadiCS」のほかにセキュアな閉域網でサーバーと安全に接続する「RadiNET Pro Guardian」、EIZOが設置・管理するサーバーにインターネット経由で接続して院内の全モニターを一元管理できるホスティングサービス「RadiNET Pro Web Hosting」、院内サーバーとネットワークを活用して院内すべてのモニターを一元管理する「RadiNET Pro」、そしてモニターの点検作業サービスといった品質管理ソリューションを設定していることをアピールしていた。
品室管理ソリューションのコーナー
●業務効率化ソリューションのコーナー
業務効率化ソリューションのコーナーでは、入力端子にUSB Type-Cを採用した新しい30.0型カラー液晶マルチモダリティモニターの「RadiForce RX670DD」をメインに据え、4Kカラー液晶スタンダードモニターの「FlexScan EV2740X」やPCとの有線ネットワーク接続により、快適かつ利便性に優れる読影環境を構築できることをアピールする。モバイルワークステーションへの給電(EIZOモニター最大となる94W)なども可能だ。「RadiForce RX670DD」自体もトピックが目白押しで、対角30インチのワイド画面上に横3280×縦2048ドットによる6メガピクセル(約600万画素)の情報量が表示可能。また、ベゼル部に内蔵のIntegrated Front Sensor(IFS)と品質管理ソフトウェア簡易版RadiCS LE(同梱)を使用することで、センサーの取付けおよび取外しの時間と手間をかけずに、GSDF準拠のキャリブレーションを実現する。モニター背面に間接照明を搭載し、暗い部屋で明るい画面を見続けることによる目の負担を軽減したことも、同モニターの訴求点である。
業務効率化ソリューションのコーナー
●マルチモダリティのハイブリッド表示コーナー
ブースでは映像レコーディングソリューションの「CuratOR MIR Browser」「CuratOR MIR-1」「FS500」や手術映像記録・配信システム「CCBX-4K」、そして最新のモニターなどを活用して展示したマルチモダリティのハイブリッド表示も脚光を浴びる。このシステム内では、昨年9月に発売された「CuratOR MIR Browser」が要注目だ。メディカルイメージング視聴・管理ソフトウェアの「CuratOR MIR Browser」は、記録された医療映像を医局やカンファレンスルームのPCで簡単に視聴、管理、編集することができるソフトウェア。「CuratOR MIR-1」で録画した映像を「CuratOR MIR Browser」で管理することで、患者への説明、医学研究、医師の後進育成のための映像の利活用をよりスムーズに行える。また、録画映像の視聴だけでなく、「CuratOR MIR-1」による映像の録画時に付与した患者情報を含む医療映像の管理を可能としている。
ブースではほかにも、「RadiForce RX1270DD」と「RadiForce RX570-AR-MD」のモニターを据えたブレストイメージングのコーナーや、PCレスで32台までのIPカメラ映像を同時表示・操作できるセキュリティ用27型モニター「DuraVision FDF2712W-IP」を活用した操作室のイメージコーナーを設置。医療現場での多様かつ精緻なモニターの使用方法を提案した。
マルチモダリティ ハイブリッド表示コーナー
●環境対応を重視したマテリアルやアイテムでブースを構成
昨年と同様、EIZOはブース自体の構成も注目ポイントだった。テーマは環境対応。システム壁材やカーペット、LED照明にはリユース品を、展示物などを設置する台にはリサイクル可能な什器を使用し、また支柱は規定品の鉄骨をレンタルして使う。ちなみに、EIZOは1985年に欧州で製品の販売を開始して以来、長年に渡って環境負荷の低減に取り組み、2024年度は前年に引き続きCDP(企業や自治体の環境情報開示のための世界的なシステムを有する国際的な非営利団体)の最高評価である「A」を2年連続で獲得している。