日本メドトロニック/TAVI用デバイス「Evolut(TM) PRO+ システム」の販売を開始

 日本メドトロニック(本社:東京都港区)は、重度大動脈弁狭窄症の患者を対象とした経カテーテル的大動脈弁置換術(以下、TAVI)用デバイス「Evolut(TM) PRO+(エボリュート プロプラス)システム」(以下、Evolut PRO+ )の販売を2020年10月5日より開始した。
大動脈弁狭窄症は、心臓の中にある弁のうち、酸素を含んだ血液を全身へと送り出す際の出口にあたる大動脈弁が、加齢や動脈硬化により硬くなって十分に開かず、血液の流れが妨げられてしまう病気。日本における大動脈弁狭窄症を含む心臓弁膜症の潜在患者数は、推定200~300 万人といわれている(1)。従来の大動脈弁狭窄症の治療法(薬物治療、外科的治療、バルーン大動脈弁形成術)に加えて、日本では2013年から治療の選択肢に加わった「TAVI」は、胸を開かず心臓が動いている状態のまま、大腿動脈等を経由してカテーテル(細い管)を心臓に通し、人工弁(生体弁)を患者の心臓に植え込む治療法である。

Evolut PRO+ は、Evolut RおよびEvolut PRO の後継製品で、自己拡張型の生体弁によって大動脈弁狭窄症の患者の血液が全身へ十分に流れるよう血行動態(動脈・静脈・心臓内の圧力や血流量など)の改善を助けるほか、摩擦軽減のためにデリバリーカテーテルシステム先端のカプセルにPTFE製カプセルライナーを採用することで23/26/29mm用デリバリーカテーテルシステムのプロファイル(サイズ)の低減を実現し、血管径の小さい方が多い日本の患者にも使用しやすくなった。

さらに Evolut PRO+ には、機能不全に陥った外科生体弁に対するTAVI(TAV inSAV)の適応が追加された。TAV in SAVは再置換が必要となった外科生体弁の中にカテーテルで新しい生体弁を植え込むことで、弁機能を改善することが期待できる治療法である。大動脈弁閉鎖不全症や大動脈弁狭窄症の治療のために外科手術で植込まれた生体弁の耐久性は10~20年(2)とされており、石灰化や摩耗によって劣化し、再び弁置換術が必要となった場合に、TAV in SAVが採用されることがある。

【製品の特長】
① 良好なシーリング
Evolut PRO 生体弁の外側のアウタースカートは、PVLのさらなる抑制の可能性が示唆されている(3)。またEvolut PRO+ では、全てのサイズの生体弁にアウタースカートが追加され、シリーズ全体の特徴である良好なシーリングを提供することが期待される。

② Evolut RおよびPROの特長と実績を継承
ニチノール製自己拡張型フレーム、自己弁輪固有の形状に影響されることなく生体弁の弁尖部分で真円を描きやすく、広い弁口面積と適切なコアプテーション(弁尖の接合)を確保できるスープラアニュラー生体弁、リキャプチャー(再収納)機能を搭載したデリバリーカテーテルシステム、細い血管にも挿入可能なロープロファイルなど、従来のEvolut RおよびPRO で実績を積み重ねてきた特長を引き継いでいる。

③ 細い血管の患者さんに対応
Evolut PRO+ のスープラアニュラー生体弁はデリバリーカテーテルシステムを通じて留置され、適応のある最小血管径は5.0mm以上(4)。InLine(TM)(インライン)シースと呼ばれる、デリバリーカテーテルと一体型のイントロデューサシースを用いることにより、細い血管にも挿入可能なロープロファイルを実現し、血管径の小さい患者に対しても経大腿動脈によるTAVI治療の提供を可能にする。日本では、患者のサイズに適した生体弁サイズ(23mm、26mm、29mm、34mm)の選択が可能。

(1) 米国の弁膜症有病率(5) を日本の 18 歳以上の人口にあてはめて算出
(2) 日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会合
同ガイドライン, 2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン
(3) Forrest JK, Williams MR, Popma JJ, et al. 30-Day Outcomes Following Transcatheter Aortic Valve Replacement With the Evolut PRO Valve in Commercial Use: A Report from the STS/ACC TVT Registry(TM). Presented at TCT 2018; San Diego, CA.
(4) 23mm、26mm、29mm用デリバリーカテーテルシステムの最小アクセス血管径
(5) Nkomo, et al., Burden of valvular heart diseases: a population-based study. Lancet. 2006; 368: 1005-1011

問い合わせ先=日本メドトロニック コミュニケーション本部 
TEL:03-6776-0002 Email: rs.japanprcom@medtronic.com 


その他の記事

島津製作所/筑波大学発スタートアップ、認知症予防に向けた会員制サービス「MCBIメンバーズ」を開始(25.4.30)

 島津製作所が出資する筑波大学発スタートアップのMCBIは、認知症予防に向けた会員制ウェブサービス「MCBIメンバーズ」を開始した。同サイトではMCBIが提供する認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを判定する「MCIスクリーニング検査プラス」の検査結果通知サービス「My MCIプラス」、オンライン運動教室「e…

鹿児島地域医療介護ネットワークとパシフィックメディカル/薩摩川内市における「マルチ医療DX事業」において離島の医療アクセス向上を目指し、甑島での医療MaaSの運用を開始(25.4.28)

 一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワーク(以下 鹿児島地域医療介護ネットワーク)と、メドレーのグループ会社であるパシフィックメディカルは、鹿児島県薩摩川内市の支援のもと推進している「マルチ医療DX事業」において、有人離島である甑島(読み:こしきしま)での医療MaaSの運用を開始する。医療MaaS車両の運行…

BARCO /プリメディアカンファレンス 32MPディスプレイ他、新製品がITEMに登場(25.4.21)

 BARCO(バルコ)は、3月17日、東京本社(東京・大田区)でITEM2025に先駆け、同イベントに展示する新製品の発表会を開催した。  冒頭、加藤浩典社長が、「昨年90周年を迎え、映画用プロジェクターでは世界の6割、ワイヤレス会議システムでもトップシェアを誇る。ヘルスケア分野でも80万台以上の医用ディスプレイが使わ…

キヤノンメディカルシステムズ/CT国内導入50年の節目の年に新製品を発売(25.4.21)

 キヤノンメディカルシステムズは、4月2日、キヤノンマーケティングジャパン Sタワー(東京・港区)でメディア向けの説明会「CT国内導入50年/ITEM開催についてのラウンドテーブル」を開催した。  はじめに同社CT事業部長の杉原直樹氏が挨拶し、「今年は国内でCTが導入されて50年という節目の年に当たる。ITEM2025(国…

シーメンスヘルスケア/放射線医学の最新トレンドとシーメンスの最新技術を紹介(25.4.21)

 シーメンスヘルスケアは、3月26日、同社本社(東京・品川区)で「次世代医療の到来:放射線医学における最新トレンドと、シーメンスヘルスケアの技術的強み」と題したメディア向けラウンドテーブルを開催した。  冒頭、同社代表取締役社長の櫻井悟郎氏が「当社の事業概要とイノベーションの取り組みについて」と題して…

フィリップス・ジャパン/日欧の放射線科医が現在の医療における課題を討論(25.4.21)

 フィリップス・ジャパンは、3月19日、同社本社(東京・港区)にて、「日本の医療が抱える課題、その解決策としてのAIやDXの活用の進展と課題」と題したプレスセミナーを開催した。 冒頭、プレシジョン ダイアグノシス事業部長の門原 寛氏が登壇し、国内の医療機関における放射線科の課題と、その課題解決に向けたAI技術…

JIRA/今年度の活動基本方針を発表─装置買替長期化を懸念(25.4.21)

 日本画像医療システム工業会(以下JIRA)は、4月11日、2025国際医用画像総合展(ITEM 2025)会場にて、毎年恒例の活動基本方針に関する記者会見を行い、「2025年度JIRA活動方針」を中心に瀧口登志夫会長は以下のように述べた。  冒頭、医療機器産業を取り巻く環境の変化について「昨今の世界情勢、社会、経済環境の変…

JRC2025/“Radiology for Everyone”─産・学が放射線治療の可能性を探る(25.4.21)

 毎春恒例のJRC2025(理事長:青木茂樹氏/順大)が4月10~13日の4日間、パシフィコ横浜(西区)で開催された。  同イベントは、第84回日本医学放射線学会総会(会長:高瀬 圭氏/東北大)、第81回日本放射線技術学会総会学術大会(大会長:岩永秀幸氏/東大病院)、第129回日本医学物理学会学術大会(大会長:磯辺智範…

島津製作所/臨床向けトータルソリューション提供へ 欧州グループ会社2社の統合で分析計測の試薬事業を強化(25.4.3)

 島津製作所は、2025年4月1日に島津グループの試薬会社であるAlsachim SAS(フランス、略称ALC)を存続会社として同じくグループ会社のBiomaneo SAS(フランス、略称BMO)を吸収合併して、社名をShimadzu Chemistry and Diagnostics SAS(フランス、略称SCHD)に変更した。ALCは液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)用…

AMDD/「経済財政運営と改革の基本方針2025」に向けた提言を提出(25.3.26)

 一般社団法人米国医療機器・IVD工業会(AMDD:American Medical Devices and Diagnostics Manufacturers’ Association、所在地:東京都港区)は、イノベーションを推進し、質の高い医療を提供し続けるために官民一体となって取り組むことを目指して、本年度の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に向けて以…

【大阪ヘルスケアパビリオン】3/23(日)内覧会・開館式を開催(25.3.24)

2025大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」内覧会と開館式を、2025年3月23日(日)、大阪夢洲(ゆめしま) にて開催した。 内覧会では、パビリオンの目玉コンテンツである「リボーン体験ルート(健康データをもとに生成された25年後の自分(アバター)とミライのヘルスケアや都市生活を体験)」をはじめ、中小企業や…

HITO病院とNTT Com/テレビを活用した訪問看護のオンコール業務効率化の実証を開始(25.3.10)

 社会医療法人石川記念会HITO病院(以下 HITO病院)とNTTコミュニケーションズ(以下 NTT Com)は、高齢者が慣れ親しんでいる自宅のテレビを活用した訪問看護のオンコール業務効率化に関する実証(以下 本実証)を2025年3月より開始する。本実証では、チカクが開発し、NTTドコモが提供するビデオ通話サービス「ちかく」を活用し…

長崎大学/NECのAIを用いて実施する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ワクチンの研究開発に、CEPIによる資金拠出が決定(25.3.10)

 長崎大学感染症研究出島特区は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ワクチンの研究開発に向けて、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI: Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)から研究開発支援を受けることが決定した。CEPIからの資金拠出は最大7億5千万円であり、長崎大学が保有する知的財産であるワクチン…

島津製作所/世界初、小型化に成功した光格子時計を発売開始(25.3.6)

 島津製作所は、3月5日に18桁精度に相当するストロンチウム光格子時計「Aether clock OC 020」(イーサクロック、以下、本製品)の受注を開始した。光格子時計は原子時計の一種で、現在の「秒」の定義の基準となっているセシウム原子時計に対して100倍以上の精度を実現する。18桁精度は100億年に1秒の誤差に相当し、光格…

保健医療福祉情報システム工業会/創立30周年記念講演会・賀詞交換会を開催(25.2.21)

 一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(以下、JAHIS)は、1月22日、東京會舘(東京・千代田区)で、昨年4月に迎えた創立30周年を記念し、特別講演会と賀詞交換会を行った。  第1部の冒頭、総務会長の下山赤城氏は、「1994年の発足当初172社だった会員が現在386社に増えた。この30年で大きく変化した情報化社会…

TOPへ