日立製作所/国立国際医療研究センターと次世代医療の実現に向けた連携協定を締結

 国立国際医療研究センター(以下、NCGM)と日立製作所(以下、日立)は、今回、次世代医療の実現に向けた連携協定を締結した。協定に基づき、NCGMと日立は、NCGM内に連携拠点を設置し、国際的に模範となる安心・安全な医療の実現をめざし、手術室の高度化や医療従事者の働き方改革を中心として、幅広い分野で連携していく。

昨今、より安心・安全で患者が心から満足できる医療の提供につながるさまざまな技術が存在するが、工学系のエンジニアが医療現場に入り込むことは難しく、医療現場の向上に十分につながっていない。また、患者数の増加や医師、看護師の不足に伴い、医療従事者の長時間労働が問題となっている。

NCGMは、日本の医療分野における国際貢献の中核的機関として、感染症その他の疾患についての調査、研究、医療技術の開発、医療の提供および医療従事者の育成等を行うことを目的として設立されたナショナル・センターである。高度総合医療の提供および研究開発を担い、日本を含むアジアの総合病院の模範として医療をけん引することをミッションとして掲げている。
日立は、ヘルスケア分野を社会イノベーション事業における注力4事業分野の一つと位置づけ、画像診断装置、粒子線がん治療システムなどの診断・臨床分野からITを活用したサービスなどのインフォマティクス分野まで、医療の質の向上と効率化を実現するソリューションを提供している。
幅広い分野で先端を行く両者が連携し、将来の世界展開も見据え、安心・安全な医療を支えるパッケージを開発していく。

具体的な連携の分野は次のとおり。

1. 次世代型外科手術室の開発

これまで外科手術において、特定の診療科に特化した手術室の高機能化が進められてきた。一方、臨床の現場では、診療科横断的な手術に対応でき、人手不足を補い、より安全な手術が行われる手術室を実現することが求められている。NCGMは、研究開発をミッションとするナショナル・センターの中でも総合病院を持ち、診療科間の垣根が低いのが特徴。また、外科手術室はさまざまな診療科が利用するユニットであり、NCGMの総合力を生かしやすい分野である。
NCGMと日立は連携して、手術室内の医療機器を連動させ、ナビゲーションなど手術時に医師をサポートする技術の強化に取り組むとともに、看護師の業務や物・人の流れまで全体をパッケージとして、より安心・安全かつ医療従事者が働きやすい手術室の実現をめざす。また、これらのパッケージを新興国等の医療の質の向上に役立てることを検討していく。

2. 働き方改革の推進

一人一人が活躍でき、多様な働き方を可能とする一億総活躍社会の実現に向け、医療の現場でも働き方改革の推進が必要不可欠である。NCGMと日立は、デジタル技術を活用した働き方改革を推進し、医療従事者がワークとライフを両立するとともに、患者志向型の病院づくりを進めていく。具体的には、ロボットが医療従事者の業務を代行することの可能性を検証するため、日立のコミュニケーションロボット「EMIEW3(エミュー・スリー)」の臨床現場での導入に係る実証研究を行う予定。

3. 先端技術を活用した医療現場の改善

日立が持つ画像診断技術や音声認識技術、指静脈認証技術などを活用し、病院のさまざまな課題解決に向けた応用可能性を探っていく。

このような連携活動を円滑にし、両者がより近い場所で同じものを見て考え、創造できる協創の場として、NCGM内に日立との連携拠点を設置する。
NCGMと日立は、こうした活動を通じ、患者や医療従事者に安心・安全な医療を提供できるパッケージの開発を進めていくことで、医療現場の課題を解決するとともに医療産業の国際力強化をめざす。

問い合わせ先=国立国際医療研究センター 企画研究部研究医療課
TEL:03-5273-6825

問い合わせ先=日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット 経営戦略室
TEL:03-6284-3724


その他の記事

キヤノンメディカルシステムズ/医療AI事業展開の方針と今後の方向性を示唆(24.4.22)

 キヤノンメディカルシステムズは、4月5日、キヤノンマーケティングジャパン本社Sタワー(東京・港区)にて、メディア向けに「医療AIに関するラウンドテーブル」を開催した。  同ラウンドテーブルでは、ヘルスケアIT事業統括部部長の布施雅啓氏が、「医療業界を取り巻く環境とキヤノンの医療AIについて」及び「キヤノン…

シーメンスヘルスケア/新社長が診療所へのアピール含め中長期戦略を説明(24.4.22)

 シーメンスヘルスケアは、4月4日、本社のあるゲートシティ大崎ウェストタワー(東京・品川区)において「Siemens Healthineers事業戦略会」を開催した。  はじめに、4月1日付でSiemens Healthineers Varianのアジア・パシフィック・ジャパン リージョン代表に就任した森 秀顕氏が、「シーメンスヘルスケアの社長ならび…

メドレー/薬局DXの課題や現状についてのブリーフィングを開催(24.4.22)

 メドレーは、4月10日、本社(東京・港区)にて、薬局DXの課題や現状に関するメディアブリーフィングを行った。同社は3月28日、Uber Direct(Uber Eats Japan社)の配送ネットワークと連携し、患者向け総合医療アプリ「CLINICS」において診療や服薬指導をオンラインで受けた患者を対象に、指導後に約30分で処方薬を届ける…

富士フイルム/新製品発表会─同社のMRI開発の強みを訴える(24.4.22)

 富士フイルムは、4月8日、富士フイルムヘルスケアショールーム「ヘルスケアフォーラム柏」(千葉・柏市)で、MRIシステムの新製品発表会を行った。  冒頭、同社の鍋田敏之氏(※)は、ヘルスケア事業の実績を「2022年度のグループ売上高は2兆8590億円で、4つの分野中ヘルスケアは9279億円とトップであり、またその内メ…

島津理化と東京農業大学/研究室の環境改善をテーマに共同開発(24.4.16)

 島津製作所のグループ会社として、研究・教育設備、理化学機器などの製造および販売を行う島津理化は、学校法人東京農業大学(以下、東農大)と安全で快適な研究環境づくりに関する共同開発契約を締結した。島津理化は、生命科学部分子生命化学科の矢島新教授と連携して研究室における化学物質使用時の作業改善や、ガス…

フィリップス/研究用MRIシステム3.0T「MR 7700」国内1号機、浜松医科大学医学部附属病院で稼働開始(24.4.15)

 フィリップス・ジャパン(本社:東京都港区、以下フィリップス)は、研究用システムである 3.0T「MR 7700」の国内 1 号機を導入した浜松医科大学医学部附属病院において、多核種(Multi Nuclei)イメージングを利用した撮像が開始されたことを発表した。  フィリップスの3.0T「MR 7700」は、先進の分子イメージングに…

Transgene社とNEC/頭頸部がんに対する個別化ネオアンチゲンがんワクチンTG4050のさらなる有効性を確認(24.4.10)

 がん治療向けウイルスベース免疫治療のデザインおよび開発を手掛けるバイオテクノロジー企業Transgene SA(トランスジーン)と日本電気(以下 NEC)は、米国・カリフォルニア州サンディエゴで開催されている米国癌学会(AACR: American Association for Cancer Research)の年次総会で、個別化ネオアンチゲンがんワクチンTG405…

インターシステムズ/エンタープライズデータファブリック についての Forrester Wave で「ストロングパフォーマー」に選出される(24.4.10)

 創造的なデータテクノロジープロバイダーであるインターシステムズは、「The Forrester Wave(TM): Enterprise Data Fabric, Q1 2024(The Forrester Wave(TM): エンタープライズデータファブリック 2024年 第1四半期)」において、「ストロングパフォーマー」に選出された。このレポートは、企業向けデータファブリックの…

富士フイルムとアストラゼネカ/肺がんの化学放射線療法の過去症例を検索できる医療情報システムを共同開発(24.4.10)

 富士フイルム(本社:東京都港区)とアストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区)は、切除不能なステージIII非小細胞肺がん(Non-small cell lung cancer、以下、NSCLC)に対する化学放射線療法(Chemoradiotherapy、以下、CRT)の過去症例を検索できる医療情報システム(以下、本システム)を共同で開発した。  CRTは…

富士フイルムメディカル/AI技術を活用した胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」国内2000施設へ導入(24.4.10)

 富士フイルムメディカル(本社:東京都港区)は、AI技術を活用した胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID(シーエックス アール エイド)」の国内の累計導入施設数が2000施設を突破したことを発表。  胸部単純X線検査は、肺癌や肺炎、心臓疾患などのルーチン検査として多く実施されている。胸部単純X線画像は、骨や…

キヤノンメディカルシステムズ/PSP、エムスリーAIによる医療AI推進のための業務提携に合意(2024.4.5)

 キヤノンメディカルシステムズ(本社:栃木県大田原市)は、PSP(本社:東京都港区)およびエムスリーAI(本社:東京都港区)と、医療AIを活用したヘルスケアIT事業の協業において業務提携することに合意した。同社が得意とする「AI解析技術」や「3D処理技術」のライセンスをPSPが有する読影用の「DICOMビューアーソフ…

富士フイルム/クラウド型AI技術開発支援サービス「SYNAPSE Creative Space(シナプス クリエイティブ スペース)」提供開始(2024.4.1)

 富士フイルム(本社:東京都港区)は、医療機関や研究機関における画像診断支援AI技術の開発を支援するサービス「SYNAPSE Creative Space(シナプス クリエイティブ スペース)」の提供を4月12日より開始する。本サービスは、国立がん研究センターと共同で開発したAI技術開発の研究基盤システムを用いたもので、プログラ…

日立製作所/医薬品・医療機器製造業向け製造・品質管理システム 「HITPHAMS」のサブスクリプション型サービス「SaaS 版 HITPHAMS」の提供を開始(2024.3.28)

 日立製作所(以下、日立)は、医薬品・医療機器製造業向け製造・品質管理システム「HITPHAMS」のサブスクリプション型サービス「SaaS 版 HITPHAMS」の提供を開始した。「HITPHAMS」は、さまざまな形態の医薬品や医療機器の生産プロセスにおいて、GMP で要求される製造指図管理や製造実績管理を中心に、厳格な製造管理・品…

NTTとオリンパス/世界初、クラウド内視鏡システムに関する共同実証実験を開始 (2024.3.27)

 日本電信電話(本社:東京都千代田区、以下「NTT」)とオリンパス(本社:東京都新宿区、以下「オリンパス」)は共同で、内視鏡の映像処理機能をクラウド上で実現するクラウド内視鏡システムの実証実験を開始した。  クラウド内視鏡システムはオリンパスの内視鏡に対する高度な技術を活用し、内視鏡装置内で処理されて…

インフォコム/集患支援の地域医療連携クラウド「mProbe」を販売開始(2024.3.26)

 インフォコム(本社:東京都港区)は、病院の集患活動を支援する地域医療連携クラウドサービス「mProbe(エムプローブ)」の販売を4月1日より開始する。  病院の経営は人口減少やコロナ禍による病床稼働率低下の影響で悪化しており、約7割の病院が赤字とされ、収益改善が課題となっている。そこで中~大規模病院で…

TOPへ