富士通Japan/医療現場における生成AIの現況と可能性を訴える(25.12.18)
富士通Japanは、同社AIに関する記者説明会を11月19日、Fujitsu Technology Park(川崎市)にて開催。医療施設向けのAI活用サービスや医療機関との共創事業を紹介した。
冒頭、同社代表取締役社長の長堀泉氏が2025年のAI関連のトピックを紹介後、桑原裕哉氏(ヘルスケア事業本部長)、大西享(同事業本部第二ヘルスケアソリューション事業部長)が事業内容と現況を説明。次いで、事例報告として国立病院機構名古屋医療センターの佐藤智久郎氏(医療情報管理部長/整形外科医長)が登壇し、つぎのように導入の成果を述べた。
「当センターでは、年間約1万6,000件もの退院サマリを作成しており、電子カルテからの転記作業が医師に大きな負担をかけていた。その対応策として2024年12月に複数診療科で富士通 Japanの生成AI活用の医療文章生成支援サービスを試験導入した。結果、1件あたりの作成時間が平均28分から8分へと短縮し、7割以上の効率化を実現。2025年10月31日から本格運用を開始したが、運用が定着すれば年間約5,000万円以上のコスト削減効果も期待されている。さらに、生成AIに適用する診療情報の範囲を選択できることから、他診療科での治療経過も把握し易くなり医療安全にも寄与するはずだ」
なお、本サービスはクラウド型だが、専用回線による閉域ネットワークを使用し、生成AIの学習に診療データを用いずクラウドにも保存しない設計となっていることで、個人情報保護に十分配慮した安全な環境で利用できるのが特長でもある。
なお、桑原氏は「今後、生成AIの活用範囲を医療文書作成から診療業務全般の効率化、診療情報の高度活用へ広げ、医療機関全体をデジタルで最適化する“デジタルホスピタル”の実現を支援していく。結果、持続可能な医療体制構築と医療の質向上に貢献することを目指す」と述べた。
