岡山大学病院と両備システムズ/国内初となる胆道がんをAIで診断支援するシステムを開発(24.7.25)

国立大学法人岡山大学 岡山大学病院(以下 岡山大学病院)消化器内科の佐藤 亮介医員(大学院医歯薬学総合研究科 博士課程3年)、光学医療診療部の松本 和幸講師(消化器内科、研究責任者)、同大学術研究院医歯薬学域(医)の河原 祥朗教授(実践地域内視鏡学講座、研究責任者)、同学域の大塚 基之教授(消化器・肝臓内科学)らの研究グループは、胆道がんに対して行う経口胆道鏡検査(POCS:peroral cholangioscopy)において、人工知能(AI)を用いて白色光画像を疑似色素散布画像へと変換することで病変範囲を明瞭化し、胆道がんの内視鏡的範囲診断の精度向上に役立つ技術を、両備システムズ(本社:岡山県岡山市)と共同開発した。診断を支援する医療AIで胆道がんが対象となるのは国内初となる。

胆道がんは粘膜を表層進展することが大きな特徴であり、胆管内を直接観察可能なPOCSを用いてこれまで白色光観察や狭帯域光観察が行われてきたが、病変範囲の診断は容易ではなかった。本研究で開発したAIによる疑似色素散布画像変換技術により、病変部の境界が明瞭化され、内視鏡専門医による範囲診断の精度が向上することが示された。本技術は胆道がん範囲診断のための新たな技術であり、適切な術式決定を行うことで、胆道がんの予後延長に寄与することが期待される。

胆道がんに対するPOCSにおいて、「Cycle GAN(Cycle-Consistent Generative Adversarial Networks)」と呼ばれるAIを用いた画像変換技術を使用し、白色光画像から疑似的な色素散布画像への変換を行った。AIの学習には、消化管内視鏡で得られた白色光画像と実際の色素散布画像のデータセットを用いた。40名の胆道がん患者に対してPOCSを行い、白色光画像、狭帯域光画像、疑似色素散布画像を記録した。3名の内視鏡専門医が、各画像の表面構造、表面微小血管、病変境界の視認性を評価したところ、AIによる疑似色素散布画像は白色光画像および狭帯域光画像と比べて表面構造と病変境界の視認性が有意に優れており、病変の範囲診断に有用であることが示された。

 

問い合わせ=両備システムズ 広報部

TEL:086-264-1311


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