富士フイルムと順天堂医院/AI技術を用いた外来患者向け転倒リスク予測技術を共同開発(24.6.17)

富士フイルム(本社:東京都港区)と順天堂大学医学部附属順天堂医院(所在地:東京都文京区、以下順天堂医院)は、院内の多様な医療データを一元的に管理できる富士フイルムの医療機関向け統合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder(シータ クリニカル ファインダー)」内の診療データを基に、AI技術を用いて、外来患者の転倒リスクを予測する技術を共同で開発した。本技術により、外来患者の転倒リスクを高い精度で予測できるようになり、患者の転倒予防につながることが期待できる。

患者の転倒事故は、国内の医療現場において高い頻度で発生している。転倒は骨折や頭部外傷などの大けがにつながり、患者の生命予後やQOLに対して深刻な影響を及ぼす可能性がある。そのため、多くの医療機関では入院患者を対象として、転倒リスクアセスメントシートを用いて患者の転倒リスクを判定・数値化し、リスクの程度に応じて付き添いや歩行介助などの転倒防止策を講じている。一方で、外来患者は入院患者に比べてアセスメント対象となる患者数が多く、また医療機関における限られた滞在時間では患者の状態を把握することが困難であるため、十分に対応することが難しい状況にある。そのため、外来患者を対象として、効率的かつ高精度に転倒リスクを評価する方法を開発することが強く求められていた。

今回、富士フイルムと順天堂医院は、富士フイルムの統合診療支援プラットフォーム「CITA Clinical Finder」に蓄積された診療データと、AI技術を用いて、外来患者の転倒リスクを予測する技術を開発した。本技術は、電子カルテや放射線部門システム、内視鏡部門システムなど院内のさまざまなシステムと連携する「CITA Clinical Finder」に集約されたデータから、年齢・特定の薬剤の処方歴など500種類以上の転倒リスクと関連性が高いと考えられる特徴量を生成し、AIに学習させて開発したものである。「CITA Clinical Finder」に登録されている診療データを基に各患者の転倒リスクを予測し、パーセンテージで表示する。また、予測に寄与した特徴量を、想定される転倒リスク要因として提示することが可能となる。

順天堂医院の外来患者約70,000名のデータを用いて本技術の精度評価を実施したところ、予測精度を示すAUROCは、0.96であり、入院患者を対象にした先行研究(AUROC:0.90)と比べて優れた結果を示した。本技術を活用することで、医療従事者は、外来患者の転倒リスクを高い精度で評価できるようになると期待できる。富士フイルムと順天堂医院は、今後、本技術のさらなる有効性検証を進め、早期実用化を目指す。

問い合わせ=富士フイルム メディカルシステム事業部

TEL:03-6271-3561

 

 

 


その他の記事

藤田医科大学と日立ハイテク/病院の採血室における患者の待ち時間を見える化へ「採血呼出し時間予測AIシステム」藤田医科大学病院で本格運用開始(25.7.28)

 藤田医科大学と日立ハイテクは、共同研究講座の成果である「採血呼出し時間予測AIシステム」(以下、本システム)を、2025年8月から藤田医科大学病院で本格的に開始する。本システムは、AIを活用して採血の呼出し時間を予測し、患者に通知することで、待ち時間の有効活用、採血待合室の混雑緩和、患者の心理的負担の軽減な…

オリンパス/エンドルミナルロボティクスの開発に向けた戦略的パートナーシップを締結(25.7.28)

オリンパス(以下、オリンパス)は本日、エンドルミナルロボティクスの開発を加速するため、米国Revival Healthcare Capital(本社:テキサス州、以下、リバイバル社)との契約締結を発表した。オリンパスとリバイバル社は、新会社「Swan EndoSurgical」(以下、スワン・エンドサージカル社)を共同で設立し、将来の消化…

富士フイルム/動物用内視鏡市場へ本格参入 内視鏡プロセッサー1機種、スコープ2機種の動物用医療機器製造販売届出を完了(25.7.25)

 富士フイルム(本社:東京都港区)は、動物医療用機器のラインアップを拡充し、日本国内の動物用内視鏡市場へ本格参入する。  このたび、内視鏡プロセッサー1機種および内視鏡スコープ2機種の動物用医療機器製造販売の届出を行った。同社はこれらの製品を、富士フイルムメディカル(本社:東京都港区)および富士フイ…

NTTドコモビジネスとメドレー/山形県における「へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」実証開始(25.7.24)

 NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)とメドレーは、7月24日より山形県が開始する令和7年度「へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」(以下 本事業)を支援する。  今年度は、昨年7月の大雨災害において大きな被害を受けた最上地域の戸沢村において、診療所や保険薬局と、災害時の避難所に指…

京都大学と島津製作所/京大の叡智×島津の技術~イノベーションの共創で地球の未来を拓く~新たな包括連携協定を締結(25.7.11)

 島津製作所および国立大学法人京都大学(京都市左京区吉田本町、以下京都大学)は、社会課題の解決に資するイノベーションおよび新事業の創出と、グローバルな高度人材育成を目的とする包括連携協定を締結した。両者は2022年に「社会課題の解決に資する革新的な技術の獲得及び新事業の創出」「新事業を社会実装する人材…

アライドテレシス/【導入事例】福井大学医学部附属病院、IT-BCPも見据えた統合ネットワーク基盤を構築(25.7.7)

 アライドテレシス(本社 東京都品川区)は、福井大学医学部附属病院(福井県吉田郡)において、同社の製品・サービスが採用されたことを発表。 ■導入の背景と課題 ・最新技術の対応強化とIT-BCPも見据えた運用改善 ・医療現場に最適な電波環境の整備 ■採用の決め手 ・運用を自動化する統合管理技術 ・可用性を…

JIRA 2025年度定時社員総会・活動報告会 /2024年度の成果を評価─「継続は力」だと再確認(25.6.20)

 一般社団法人日本画像医療システム工業会(以下、JIRA)は、6月5日、KKRホテル東京(東京・千代田区)で、2025年度定時社員総会・活動報告会を開催した。  冒頭、2024年度の活動について、各部会から報告が行われ、続いて総会ならびに理事会が開催された。専務理事の稲葉 潔氏が進行を務め、昨年4月に策定した活動基本…

JAHIS第15期定時社員総会/医療情報プラットフォームの整備等、医療DXの推進を目指す(25.6.20)

 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は6月10日、経団連会館(東京・千代田区)において、第15期定時社員総会を開催。2024年度の事業報告と収支決算、2025年度の事業計画及び収支予算書が満場一致で承認された。  2025年度の事業計画では、JAHISの中期計画2027の運営方針に基づき、①国民・ユーザに向けての、2030…

Transgene社とNEC/個別化ネオアンチゲンがんワクチンTG4050が、頭頸部がんに対して2年以上の無再発状態と持続的なT細胞の応答を示したことを確認(25.6.2)

 がん治療向けウイルスベース免疫治療のデザインおよび開発を手掛けるバイオテクノロジー企業Transgene SA(トランスジーン、以下 Transgene社)と日本電気(以下 NEC)は、米国・イリノイ州シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)の2025年次総会において、HPV陰性頭頸部がん…

キヤノンメディカルシステムズ/小児向け超音波検査説明用動画 「ちょうおんぱけんさのようすをみてみよう!」公開(25.5.29)

 キヤノンメディカルシステムズ株式会社(本社︓栃木県大田原市 、以下、キヤノンメディカル)は、小児向け超音波検査説明用動画「ちょうおんぱのようすをみてみよう!」(以下、本動画)を制作し、キヤノンメディカルのYouTubeで公開した。  本動画は、北九州市立八幡病院 小児臨床超音波センター 小野友輔 センター長…

イーメディカル東京/Neuspectiveと連携し、生成AIによる 読影レポート支援システムを導入(25.5.23)

 遠隔読影サービスを提供するイーメディカル東京(本社:東京都中央区、以下「同社」)は、Neuspective(東京都中央区)と連携し、同社が開発した生成AIを活用した読影レポート支援プロダクト(以下「本プロダクト」)を導入した。 ■導入の背景と目的 遠隔読影では、依頼元の医師からの要望や臨床情報が読影医に十分…

メドレー/百五銀行と協業を開始し、東海地方の医療・介護・福祉事業所への業務支援を強化(25.5.8)

 メドレー(本社:東京都港区)は、地域の医療・介護・福祉事業所が抱える人材領域の経営課題解決を目指し、百五銀行(本店所在地:三重県津市)との協業を開始した。  百五銀行は三重県に本店を置き、三重県・愛知県などの東海地方を中心に展開する地域に根差した金融機関である。本取り組みでは、百五銀行を通じて、…

島津製作所/筑波大学発スタートアップ、認知症予防に向けた会員制サービス「MCBIメンバーズ」を開始(25.4.30)

 島津製作所が出資する筑波大学発スタートアップのMCBIは、認知症予防に向けた会員制ウェブサービス「MCBIメンバーズ」を開始した。同サイトではMCBIが提供する認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを判定する「MCIスクリーニング検査プラス」の検査結果通知サービス「My MCIプラス」、オンライン運動教室「e…

鹿児島地域医療介護ネットワークとパシフィックメディカル/薩摩川内市における「マルチ医療DX事業」において離島の医療アクセス向上を目指し、甑島での医療MaaSの運用を開始(25.4.28)

 一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワーク(以下 鹿児島地域医療介護ネットワーク)と、メドレーのグループ会社であるパシフィックメディカルは、鹿児島県薩摩川内市の支援のもと推進している「マルチ医療DX事業」において、有人離島である甑島(読み:こしきしま)での医療MaaSの運用を開始する。医療MaaS車両の運行…

BARCO /プリメディアカンファレンス 32MPディスプレイ他、新製品がITEMに登場(25.4.21)

 BARCO(バルコ)は、3月17日、東京本社(東京・大田区)でITEM2025に先駆け、同イベントに展示する新製品の発表会を開催した。  冒頭、加藤浩典社長が、「昨年90周年を迎え、映画用プロジェクターでは世界の6割、ワイヤレス会議システムでもトップシェアを誇る。ヘルスケア分野でも80万台以上の医用ディスプレイが使わ…

TOPへ