日立製作所/北海道大学と共同開発した2軸CBCT機能及び2軸四次元CBCT機能が医療機器の製造販売承認を取得     

日立製作所/北海道大学と共同開発した2軸CBCT機能及び2軸四次元CBCT機能が医療機器の製造販売承認を取得     

 北海道大学大学院医学研究院の清水伸一教授らの研究グループと日立製作所は, 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究戦略的推進プログラム」等の支援により, 新たな高精度陽子線治療のための2軸CBCT*1機能及び2軸四次元CBCT機能を開発し, 製造販売承認を取得した。これらの機能により, CBCT撮影の高速化及び動く部位の鮮明な三次元画像の取得が可能となり, 腫瘍に対する陽子線治療のさらなる高精度化が期待される。
※左図. 2軸CBCTの概要

 腫瘍に対する陽子線治療を高精度化するためには, 体内の情報をより詳細に把握することが必要。通常の二方向からの二次元X線画像から得られる骨の位置, 動体追跡技術*2によって得られる腫瘍の動きの情報に加えて, 腫瘍周辺の正常組織, 特に軟組織の位置・形状が把握できれば, 腫瘍への陽子線照射精度を高めると同時に, 正常組織への被ばくのリスクを大幅に低減することが可能となる。これを実現するため, 北海道大学と日立製作所は陽子線治療における回転ガントリー*3搭載型CBCTシステムを共同開発し, 2015年3月に医薬品医療機器等法*4に基づく医療機器の製造販売承認を取得した。
しかし, 従来のCBCTは撮影に時間を要する, また動く部位の撮影では鮮明な画像が得られないという課題があり, 適用可能な患者及び疾患に制約があった。
これらの課題を解決するため, 北海道大学と日立製作所はAMEDの「未来医療を実現する医療機器・システム開発事業」の支援を受け, 2軸CBCT機能及び2軸四次元CBCT機能を共同開発した。
2軸CBCT機能は, 回転ガントリーに搭載された互いに直交する二対のX線撮像系を同時に用いて撮影を行う技術で, CBCT撮影に要する時間をほぼ半減させることが可能となる。
2軸四次元CBCT機能は, 二対のX線撮像系を同時に用いることで体内の腫瘍内あるいは腫瘍近傍に留置された金マーカの三次元座標をリアルタイムで算出する動体追跡技術を応用し, 金マーカが計画位置から数ミリ以内に存在する状態で撮影された投影画像のみを用いてCBCT画像を再構成する技術で, 呼吸等により動く部位であっても鮮明な体内の三次元画像を取得することが可能となる。
北海道大学と日立製作所は, AMEDの「橋渡し研究戦略的推進プログラム」の支援を受け, 2軸CBCT機能及び2軸四次元CBCT機能の臨床的評価を実施, 医薬品医療機器等法に基づく医療機器の製造販売承認を申請し, 2020年9月10日に承認を取得した。

 2軸CBCT機能により, 従来のCBCT機能の課題であった撮影時間の大幅な削減が可能となり, 患者負担の軽減及び治療のスループット向上によるCBCTの実用性の向上が期待される。また, 2軸四次元CBCT機能により, 二次元のX線画像や従来のCBCTでは視認が困難であった動く部位における腫瘍及び周辺組織の鮮明な三次元画像を取得することが可能となり, 患者位置決め精度の飛躍的な改善が期待される。2軸CBCT機能及び2軸四次元CBCT機能の実用化により, より多くの患者に対して高精度な陽子線治療を提供することが可能になると考えられる。

本研究開発は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の以下の事業の支援を受けて行われた。
橋渡し研究戦略的推進プログラム「シーズB:動体追跡技術を発展させ, がん標的の3次元的形状と位置の時間的変化を把握する実体適合陽子線治療(Real-world Adaptive Proton Beam Therapy)システムの非臨床POC取得」(2018-2020, 研究開発代表者・清水伸一)(橋渡し研究支援拠点である北海道大学拠点の支援を受けて実施している。)
未来医療を実現する医療機器・システム開発事業 低侵襲がん診療装置研究開発プロジェクト「微粒子腫瘍マーカとリアルタイム3次元透視を融合した次世代高精度粒子線治療技術の開発」(2015-2018, 研究開発代表者・白土博樹)

*1CBCT … コーンビームCT(Cone Beam CT)のこと。治療装置のサイドに装備された撮影装置を使って, コーンビーム(円錐状のビーム)で撮影するCT。
*2動体追跡技術 … 腫瘍近傍に1.5ないしは2mmの金マーカを刺入し, CT装置であらかじめ腫瘍中心との関係を把握しておき, 2方向からのX線透視装置を利用し, 透視画像上の金マーカをパターン認識技術にて自動抽出, 空間上の位置を周期的に繰り返し計算する。そして, 金マーカが計画位置から数mmの範囲にある場合だけ照射。これを高速で行うことで, 呼吸などにより体内で位置が変動するがんでも高精度で照射を行うことが可能になる。
*3回転ガントリー … 放射線治療において, 治療ビームの出射方向を患者を中心に回転させることで, あらゆる角度からの治療を可能とする装置。
*4医薬品医療機器等法 … 医薬品, 医療機器等の品質, 有効性及び安全性の確保等に関する法律のこと。薬機法ともよばれる法律で, 医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器及び再生医療等製品の品質, 有効性及び安全性の確保を目的とし, 製品の製造販売承認や各種規制が定められている。

問い合わせ先=日立製作所 ライフ事業統括本部 ヘルスケア事業部
TEL 04-7131-4280


その他の記事

富士フイルム/AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」のアプリケーションをクラウドで提供

富士フイルムは、医師の画像診断ワークフローを支援するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」のアプリケーションをクラウドで提供する「医療クラウドサービス」を、富士フイルムメディカルを通じて2021年5月12日に開始する。「医療クラウドサービス」の第一弾として、2020年6月に発売した…

富士フイルムと国立がん研究センター/「AI開発支援プラットフォーム」を共同開発

 富士フイルム(東京都港区)と国立がん研究センター(東京都中央区)は、プログラミングなどの専門知識がなくても医師や研究者が自身で画像診断支援のAI技術(ソフトウェア)を開発できる「AI開発支援プラットフォーム」を共同で開発した。 一般的に、画像診断支援AI技術を開発する際には、複数のツールを活用して、AI…

Siemens Healthineers/米VarianMedical Systemsの株式取得手続きを完了

 Siemens Healthineers AG(フランクフルト: SHL)は、Varian Medical Systems, Inc. (以下、Varian)の株式取得手続きが完了したことを発表した。本株式取得は、2020年8月2日に発表したもの。 「Varianとの統合により、 Siemens HealthineersはMedTech(メドテック)分野において最も包括的なポートフォリオを有するこ…

シーメンスヘルスケア・コニカミノルタジャパン/医療サービス提供における提携を本格始動

 シーメンスヘルスケア(本社:東京都品川区)とコニカミノルタジャパン(本社:東京都港区)は、AI技術を活用した診断や診療を誰もが受けられる世の中の実現を目指し、医療サービス分野における提携を本格的に開始する。2020年6月に発表したシーメンスヘルスケアの胸部CT画像AI解析受託サービスをコニカミノルタジャパン…

シーメンスヘルスケア/眼科画像AI診断支援サービスを提供する自治医科大学発ベンチャー・DeepEyeVisionと提携を開始

 シーメンスヘルスケア(本社:東京都品川区)とDeepEyeVision(本社:栃木県下野市)は、医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて、臨床および医療教育分野における医療サービスの変革と患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上を目指し、提携を開始した。 今回の提携により、シーメンスヘルスケア…

キヤノンメディカルシステムズ/コニカミノルタと整形外科領域における超音波診断装置の販売事業で協業

 キヤノンメディカルシステムズ(本社: 栃木県大田原市)とコニカミノルタジャパン(本社︓東京都港区)は、国内整形外科領域における超音波診断装置の販売事業において協業することになった。両社は昨年5月に国内産婦人科向け超音波診断装置において協業を開始し、より多くの医療現場に導入されている。 【協業の内容…

シーメンスヘルスケア/アドバンスト・モビリティ・ソリューション「Medical-ConneX」を発表

 シーメンスヘルスケア(本社:東京都品川区)は、患者とドクターが「つながる」こと、いつどこにいても質の高い医療に「つながる」ことをコンセプトに設計した災害医療・発熱外来・健診・往診・巡回診療向けのアドバンスト・モビリティ・ソリューション「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)」を本年4月1日より正式…

NEC/済生会宇都宮病院とAIを活用した看護記録支援システムの実証を実施

 済生会宇都宮病院(所在地: 栃木県宇都宮市)と日本電気(本社:東京都港区、以下 NEC)は、看護師の業務負荷軽減と安全・安心な医療環境に向けた取り組みとして、AIの活用により発話内容を分析・テキスト化して看護記録業務を支援する看護記録支援システムの実証を本年2月に実施した。 看護師をはじめとする医療従事者の…

富士フイルム/富士フイルムヘルスケアが新しいグループ会社としてスタート

 富士フイルムは、日立製作所の画像診断関連事業(以下、対象事業)の買収手続きを、本日完了した。これにより日立製作所が対象事業の承継のために設立した富士フイルムヘルスケアは、3月31日より、富士フイルムの 100%子会社として新たにスタートする。 近年、医療現場では、さまざまな製品を組み合わせた病院経営へ直…

富士通Japan/医療機器の不具合情報を一元管理する新サービス「パーシヴSafinn/MD」を提供開始

 富士通Japan は医療機器メーカーに向けて、自社で製造した医療機器の不具合情報の入力から報告、保管まで一元管理するSaaS 型のサービス「FUJITSU ライフサイエンスソリューション tsClinicalパーシヴSafinn/MD(ティーエスクリニカル パーシヴサーフィンエムディ)」(以下 「パーシヴSafinn/MD」)を4 月から提供開始す…

キヤノン/X 線イメージセンサーの新技術“Built-in AEC Assistance”を開発

 キヤノンは、同一X 線イメージセンサー面の素子を用いて、画像を生成すると同時に、照射されたX 線に相当する画素値※1 をリアルタイムに検知し、あらかじめ設定した基準値と比較、通知することが可能な新技術“Built-in AEC※2 Assistance”を開発した。 X 線を用いて撮影を行う医療現場においては、「人体へのX 線の照…

メドレー/「CLINICS カルテ」の新機能として、直感的な操作で多角的な分析ができる「経営分析機能」をリリース

 メドレー(本社:東京都港区)は、「CLINICS カルテ」の新機能として、直感的な操作で多角的な分析ができる「経営分析機能」を、3 月30 日(火)にリリースする。 「経営分析機能」では診療に関わる情報※を簡単に可視化できるため、クリニックがレセプトデータやカルテなどからの情報の抽出や集計にかけていた手間や時…

バリアン メディカル システムズ/適応放射線治療ソリューションETHOS(イーソス)の薬事承認を取得

 バリアン メディカル システムズ(本社:東京都中央区)の、新たなAdaptive Radiotherapy(適応放射線治療)ソリューションを提供するETHOS が、厚生労働省より3月18日に製造販売承認を取得した。ETHOSは、人工知能(AI)を取り入れた適応放射線治療のトータルソリューションであり、これをETHOS therapy - Adaptive Int…

インテグラル/シンクメディカルと業務提携契約を締結

 インテグラル(本社:東京都品川区)は、シンクメディカル(本社:東京都渋谷区)と2021年2月10日に肝疾患用診断支援AI事業において業務提携契約を締結した。 業務提携の内容 シンクメディカルのIoTシステムは一般検査数値をビッグデータ化し、独自のアルゴリズムを使用してAI解析を行う。この技術は、大阪府済生会…

TOPへ