PHC/ヘルスケアITの技術革新で医療の近未来を先取り

PHC/ヘルスケアITの技術革新で医療の近未来を先取り

 「技術と革新のすべてを世界の人々の健康のために」。それが今年の国際モダンホスピタルショウに向けたPHCのメッセージである。昨年までは、PHCグループのMedicom社1社で参加していたが、2021年はPHCグループの5社の企業活動をブース内で紹介するとともにグループ内の連携についても紹介している。ASCENSIA Biabetes Careは血糖値測定システムやデータ連係ソリューションのいわば「糖尿病マネジメント」のエキスパートカンパニー。
phcbiは試料の保存、細胞の培養に必要な機器開発などでライフサイエンス分野に貢献している。同じライフサイエンスの分野でも病理用機器や顕微鏡用スライドグラスなどで知られるeprediaもPHCグループの中核企業だ。臨床検査、診断機、創薬支援などのヘルスケアソリューションを提供するのがLSIメディエンス。
そしてMedicomも、もちろんヘルスケアソリューションの分野からPHCグループを支えているのは当然である。

●中小規模病院向け電子カルテシステム「Medicom-CK」
Medicom(メディコム)ブランドの医療ITの歴史は古く、1970年代前半には初の製品を発売している。現在は、電子カルテを中心に、クリニック向け、中小規模病院向け、大規模病院向けとよりきめの細かい製品で対応していることで広く知られる。今回の国際モダンホスピタルショウでは、特に一般・中小規模病院向けの電子カルテシステム・Medicom-CKを展示・紹介して、来場者の足を止めさせていた。やはりブランド力のなせる技だろう。
このMedicom-CKは「直感的に操作」できる画面構成が好評である。画面のレイアウトに変更を加えないで、表示文字の拡大ができるのも「使いやすい」と高い評価を得ている。そのほかにもメニューバーを任意にカスタマイズできるなど、導入した病院の使い勝手を優先する電子カルテシステムだ。
またMedicom-CKは患者情報をカルテ画面に呼び出して同一の画面で確認できる。それだけでなく、患者の病名、病歴、治療経過を年表形式で時系列を追って表示することもできるのも、治療の質を担保する上で大いに貢献するはずだ。また、受信前相談の記録を患者カルテと統合したり、複数の患者情報を端末からでも一括入力できる。看護の必要度、医療区分、ADLをエクセルで自動集計して、必要に応じて出力できるのもMedicom-CKの得意とする便利な機能である。
「Medicom-CK」の見逃せないメリットはWeb形式だということだ。Web形式を採用することで使用するブラウザやデバイスの制限がなく、たとえばグループ病院間の連携や地域連携でもシステムの調整が難しくない。もちろん院内でのネットワークの構築にもWeb形式は便利であることはいうまでもない。当然、経済的負担も小さくなる。端末がPC、タブレット、スマートフォンとさまざまであっても、それぞれのデバイスの画面に合せて画面をフィットさせるのも、この電子カルテシステムの使い勝手の良いところであり、患者情報を手近のデバイスに最適な画面表示で呼び出すことができる。
(※なお、Medicom-CKの導入に関して、小誌2021年3月号で実例をリポートしているので、ご興味があればバックナンバーなどを参照してください)

●医療機関・薬局向け顔認証付きカードリーダー(マイナンバーカード対応)
今年m令和3年3月から「オンライン資格確認」と「特定健診情報の閲覧」が始まっているのは、ご存知のとおりだ。さらに「薬剤情報の閲覧」は10月に迫っている。今回の国際モダンホスピタルショウ2021では、PHCは顔認証つきカードリーダーのデモンストレーションを医療機関と薬局向けに行い、好評を博していた。
同社の新開発の医療機関・薬局向け顔認証付きカードリーダー(マイナンバーカード対応)は、筐体のサイズが幅148mm×奥行き145mm×高さ276mm。重さは1.8kg以下。この筐体に組みこまれるTFT液晶は7インチのフルカラーでタッチパネル機能付きだ。
マイナンバーカードはカードスロットを通したり、認証用のカメラに近づけるのではなく、筐体下に空いた口のようなトレイ状のスペースにポンと置くだけ。それで勝手にカードリーダーが認識して、顔認証と合せて本人確認をする。ちなみにこのカードリーダーは、パナソニック ビジネスの製品であり、Medicomでも取扱う。
 今回、この「医療機関・薬局向け顔認証付きカードリーダー(マイナンバーカード対応)」が接続されていたのはMedicomのPharnes-MXという保険薬局用電子薬歴システム。カードリーダーで受け付けたマイナンバーカードは承認されるとともに、システムにも情報が送られて処方箋受付が完了し、対象者の情報を端末に表示する。患者側からのメリットとしては、煩雑な操作がなく、ただ置くだけというところ。万が一の置き忘れにもカードリーダーが判断してアラームを鳴らしてくれる。これは、確かに便利だと思わせる。
 もちろんこのカードリーダーは、Medicom製のITソリューションとの接続も想定されている。薬局ばかりでなく、クリニックや病院の受付でもこのカードリーダーをたびたび目にする日が来るかもしれない。


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