シーメンスヘルスケア/緊急性の高い脳血管内治療に貢献する”シームレス”な救急救命・手術室を実現する新病院建設で柏葉会とパートナーシップを締結(24.6.12)

社会医療法人柏葉会(北海道札幌市)とシーメンスヘルスケア(東京都品川区)は、柏葉会が北海道札幌市内に新たに開院する札幌柏葉会病院の設立に関するパートナーシップを締結した。本パートナーシップは、柏葉会が現在札幌市内で運営している柏葉脳神経外科病院の移転・新築にあたり、脳神経外科領域における質の高い医療の提供、および北海道における高度な急性期医療の提供のため、シーメンスヘルスケアとともに緊急性の高い脳血管内治療、そして高度な脳血管外科手術に貢献する ”シームレス” な手術室および救急救命室「SMART (Seamless Multi Access for Reliable Treatment) OR・SMART ER」(スマート OR ・スマートER)の実現を目指すものである。

脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の総称である脳卒中は日本人の死因の第4位、要介護原因の第1位となる重篤な疾患である。日本における脳卒中の入院症例のうち73%が脳梗塞によるものだが、脳梗塞は発症から4時間半以内のtPA静注療法あるいは、8時間以内のカテーテル治療が必要とされる緊急性の高い疾患である。こうした緊急性の高い脳血管内治療に対応するため、新病院ではシーメンスヘルスケア製のCT装置と血管撮影装置、MRI装置の導入に加え、患者の移動時間や移動に伴う負荷をさらに軽減すべく、シームレスな機器間の配置と患者の動線設計を行い、高度な脳血管内治療のワークフローを改善する。

脳出血やくも膜下出血など緊急の外科手術を要する症例に対しては、シームレスな外科治療の実現のため、救急救命室から手術室までの直接動線を配備した。手術室では、複数の部屋と複数の画像機器を組み合わせた複合的手術部に加え、AR(拡張現実)などさまざまな3次元デジタル画像技術を組み合わせることで、より高度な外科手術を可能にする。多元的な情報と手術映像を統合した映像のライブ配信など、手術室と外部をシームレスにつなぎ、発展的な議論や教育の機会を提供する。こうした「SMART OR・SMART ER」を駆使し、患者ファーストの高度な脳神経外科医療の実現に貢献していく。

手術室と血管造影室の機能を併せ持つハイブリッドORでは、術中にCT画像やX線透視画像を参照しながら治療を進めていく画像下治療が可能である。従来はそれぞれ別の部屋に設置されていた装置を一つの部屋に組み合わせることで、移動に伴う患者の負担軽減につながるほか、3D画像を参照しながらの複雑かつ高度な手技が可能となり、低侵襲治療の実現にも寄与する。このハイブリッドORを発展させたSMART ORでは、3室ある手術室のうち、主たる2つの手術室の間の壁中にCT装置が格納されており、CT装置が双方の手術室内に移動して術中CT撮影が可能となる効率的な設計になっている。また、術前のCTやMRIによる脳機能と解剖を反映した精緻な3次元シミュレーション画像処理機能を手術室内部に取り込み、手術顕微鏡を使ったAR拡張現実によるナビゲーションなど、さまざまな画像や術中映像を多数のモニターで司ることができるため、高度な先進手術に貢献する。さらに、手術室と外部を双方向につなぐライブ映像通信により、医師のトレーニングや次世代育成にも貢献する。本SMART ORには、シーメンスヘルスケアのハイブリッド手術室に対応した多軸透視・撮影システム「ARTIS pheno(アーティス・フィノ)」と、それぞれの患者に合わせて撮影条件を最適化する64列マルチスライスCT装置「SOMATOM Confidence(ゾマトム・コンフィデンス)」を導入予定。

救急外来に搬送される患者は、初療室やCT室、手術室などの複数の部屋やベッドを移動する際の振動や移動時間が大きな負担となることがある。患者を移動させることなく診断と治療を同時並行で行う救急救命室であるハイブリットERがすでに日本でも普及しつつあるが、本SMART ERでは、CT装置と血管造影装置のみならず、MRI装置までもSMART ERに配置し、機動的な救急救命の実現を図る。また、専用エレベーターで手術室と連結した設計になっており、シームレスに患者を専門的治療につなぐことができる。感染専用室も完備し、さまざまな患者の受け入れに対応する。本SMART ERには、シーメンスヘルスケアの脳血管治療用の血管撮影装置「ARTIS icono D-Spin(アーティス・アイコノ・ディースピン)」および脳や体内の微細な構造を高いコントラストで描出するMRI装置「MAGNETOM Cima.X(マグネトム シーマエックス)」を導入予定。

両者は2024年12月(予定)の開院に向け、札幌柏葉会病院が日本を代表する高度な脳血管疾患治療における拠点病院へ発展していくことを目指し、引き続き協業していく。

 

問い合わせ=シーメンスヘルスケア コミュニケーション部

TEL: 090-2067-1589


その他の記事

メドレー/医療プラットフォーム事業のプロダクト群を束ね「MEDLEY AI CLOUD」としてブランドリニューアル(25.9.1)

 メドレー(東京都港区)は、医療プラットフォーム事業で展開しているプロダクト群をブランドリニューアルし、医療機関が患者・生活者とつながる次世代医療プラットフォーム「MEDLEY AI CLOUD」として9月1日から提供開始する。  メドレーの医療プラットフォーム事業では、病院・有床診療所、無床医科診療所、歯科診療所…

藤田医科大学と日立ハイテク/病院の採血室における患者の待ち時間を見える化へ「採血呼出し時間予測AIシステム」藤田医科大学病院で本格運用開始(25.7.28)

 藤田医科大学と日立ハイテクは、共同研究講座の成果である「採血呼出し時間予測AIシステム」(以下、本システム)を、2025年8月から藤田医科大学病院で本格的に開始する。本システムは、AIを活用して採血の呼出し時間を予測し、患者に通知することで、待ち時間の有効活用、採血待合室の混雑緩和、患者の心理的負担の軽減な…

オリンパス/エンドルミナルロボティクスの開発に向けた戦略的パートナーシップを締結(25.7.28)

オリンパス(以下、オリンパス)は本日、エンドルミナルロボティクスの開発を加速するため、米国Revival Healthcare Capital(本社:テキサス州、以下、リバイバル社)との契約締結を発表した。オリンパスとリバイバル社は、新会社「Swan EndoSurgical」(以下、スワン・エンドサージカル社)を共同で設立し、将来の消化…

富士フイルム/動物用内視鏡市場へ本格参入 内視鏡プロセッサー1機種、スコープ2機種の動物用医療機器製造販売届出を完了(25.7.25)

 富士フイルム(本社:東京都港区)は、動物医療用機器のラインアップを拡充し、日本国内の動物用内視鏡市場へ本格参入する。  このたび、内視鏡プロセッサー1機種および内視鏡スコープ2機種の動物用医療機器製造販売の届出を行った。同社はこれらの製品を、富士フイルムメディカル(本社:東京都港区)および富士フイ…

NTTドコモビジネスとメドレー/山形県における「へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」実証開始(25.7.24)

 NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)とメドレーは、7月24日より山形県が開始する令和7年度「へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」(以下 本事業)を支援する。  今年度は、昨年7月の大雨災害において大きな被害を受けた最上地域の戸沢村において、診療所や保険薬局と、災害時の避難所に指…

京都大学と島津製作所/京大の叡智×島津の技術~イノベーションの共創で地球の未来を拓く~新たな包括連携協定を締結(25.7.11)

 島津製作所および国立大学法人京都大学(京都市左京区吉田本町、以下京都大学)は、社会課題の解決に資するイノベーションおよび新事業の創出と、グローバルな高度人材育成を目的とする包括連携協定を締結した。両者は2022年に「社会課題の解決に資する革新的な技術の獲得及び新事業の創出」「新事業を社会実装する人材…

アライドテレシス/【導入事例】福井大学医学部附属病院、IT-BCPも見据えた統合ネットワーク基盤を構築(25.7.7)

 アライドテレシス(本社 東京都品川区)は、福井大学医学部附属病院(福井県吉田郡)において、同社の製品・サービスが採用されたことを発表。 ■導入の背景と課題 ・最新技術の対応強化とIT-BCPも見据えた運用改善 ・医療現場に最適な電波環境の整備 ■採用の決め手 ・運用を自動化する統合管理技術 ・可用性を…

JIRA 2025年度定時社員総会・活動報告会 /2024年度の成果を評価─「継続は力」だと再確認(25.6.20)

 一般社団法人日本画像医療システム工業会(以下、JIRA)は、6月5日、KKRホテル東京(東京・千代田区)で、2025年度定時社員総会・活動報告会を開催した。  冒頭、2024年度の活動について、各部会から報告が行われ、続いて総会ならびに理事会が開催された。専務理事の稲葉 潔氏が進行を務め、昨年4月に策定した活動基本…

JAHIS第15期定時社員総会/医療情報プラットフォームの整備等、医療DXの推進を目指す(25.6.20)

 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は6月10日、経団連会館(東京・千代田区)において、第15期定時社員総会を開催。2024年度の事業報告と収支決算、2025年度の事業計画及び収支予算書が満場一致で承認された。  2025年度の事業計画では、JAHISの中期計画2027の運営方針に基づき、①国民・ユーザに向けての、2030…

Transgene社とNEC/個別化ネオアンチゲンがんワクチンTG4050が、頭頸部がんに対して2年以上の無再発状態と持続的なT細胞の応答を示したことを確認(25.6.2)

 がん治療向けウイルスベース免疫治療のデザインおよび開発を手掛けるバイオテクノロジー企業Transgene SA(トランスジーン、以下 Transgene社)と日本電気(以下 NEC)は、米国・イリノイ州シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)の2025年次総会において、HPV陰性頭頸部がん…

キヤノンメディカルシステムズ/小児向け超音波検査説明用動画 「ちょうおんぱけんさのようすをみてみよう!」公開(25.5.29)

 キヤノンメディカルシステムズ株式会社(本社︓栃木県大田原市 、以下、キヤノンメディカル)は、小児向け超音波検査説明用動画「ちょうおんぱのようすをみてみよう!」(以下、本動画)を制作し、キヤノンメディカルのYouTubeで公開した。  本動画は、北九州市立八幡病院 小児臨床超音波センター 小野友輔 センター長…

イーメディカル東京/Neuspectiveと連携し、生成AIによる 読影レポート支援システムを導入(25.5.23)

 遠隔読影サービスを提供するイーメディカル東京(本社:東京都中央区、以下「同社」)は、Neuspective(東京都中央区)と連携し、同社が開発した生成AIを活用した読影レポート支援プロダクト(以下「本プロダクト」)を導入した。 ■導入の背景と目的 遠隔読影では、依頼元の医師からの要望や臨床情報が読影医に十分…

メドレー/百五銀行と協業を開始し、東海地方の医療・介護・福祉事業所への業務支援を強化(25.5.8)

 メドレー(本社:東京都港区)は、地域の医療・介護・福祉事業所が抱える人材領域の経営課題解決を目指し、百五銀行(本店所在地:三重県津市)との協業を開始した。  百五銀行は三重県に本店を置き、三重県・愛知県などの東海地方を中心に展開する地域に根差した金融機関である。本取り組みでは、百五銀行を通じて、…

島津製作所/筑波大学発スタートアップ、認知症予防に向けた会員制サービス「MCBIメンバーズ」を開始(25.4.30)

 島津製作所が出資する筑波大学発スタートアップのMCBIは、認知症予防に向けた会員制ウェブサービス「MCBIメンバーズ」を開始した。同サイトではMCBIが提供する認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを判定する「MCIスクリーニング検査プラス」の検査結果通知サービス「My MCIプラス」、オンライン運動教室「e…

鹿児島地域医療介護ネットワークとパシフィックメディカル/薩摩川内市における「マルチ医療DX事業」において離島の医療アクセス向上を目指し、甑島での医療MaaSの運用を開始(25.4.28)

 一般社団法人鹿児島地域医療介護ネットワーク(以下 鹿児島地域医療介護ネットワーク)と、メドレーのグループ会社であるパシフィックメディカルは、鹿児島県薩摩川内市の支援のもと推進している「マルチ医療DX事業」において、有人離島である甑島(読み:こしきしま)での医療MaaSの運用を開始する。医療MaaS車両の運行…

TOPへ