がん対策推進企業アクション/がん治療における緩和ケアの意義と実効性を訴える

 厚生労働省委託事業である「がん対策推進企業アクション」は、企業内でのがん検診の受診率向上などを目指す事業であり、着実にその成果を出しているが、6月28日、メディア向けのセミナーをTKPガーデンシティ竹橋(東京・千代田区)においてオンライン/オフラインで開催した。テーマは「がん緩和ケアが大きな転換期に」。プログラムは、同事業のアドバイザリーボード議長の中川恵一氏(東大)と服部政治氏(沖縄中部徳洲会病院)2氏による講演。
 中川氏は、6月9日、厚労省が発出した「診断時における具体的な緩和ケア」「医療用麻薬でも取れない痛みへの神経ブロックや放射線照射の活用」「がん診断時に患者に手渡す説明文書」の3資料の内容を解説した後、日本の医療の特殊性を指摘。「病気の治癒には、“治す”も”癒す”も必要だが、日本では“治す”に偏っている。本来のがん治療では、がんと診断された時より緩和ケアは始められるべきだ。治療に緩和ケアを加えることで、QOLが高まり、鬱症状がとれ、終末期の治療行為が減り、その上、生存期間も延長する」と訴えた。その一方で「がん性疼痛に対する治療法としては医療用麻薬が基本であるが、適正使用量の6分の1しか使われていない。また緩和的放射線治療や神経ブロック療法の有効性にも注目すべきだ」とまとめた。
 服部政治氏は、麻酔科・ペインクリニック医師の立場から、オンラインでがん疼痛治療の現状を講演。同氏は「医療用麻薬だけでは痛みは取れない。痛みに特化した治療である神経ブロック療法の有用性は高い。診断初期での神経ブロック療法の実施は、在宅期間を圧倒的に増やし、漸増しなければならない医療用麻薬の量も減らせる。ただ、同療法を実施できる医師が圧倒的に少なくなってきているのが課題で、早急に教育体制を敷く必要がある」と訴えた。なお、服部氏は、同療法の神経破壊術、脊髄鎮痛法について本邦随一の実施数を持つ医師として知られる。


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