エム・シー・ヘルスケア/「地域医療」×「総合診療」×「改革」を議論(25.12.18)
エム・シー・ヘルスケアは11月21日、品川インターシティホール及び品川ザ・グランドホール(ともに東京・港区)にて、「第26回病院の経営を考える会」を開催した。
本年度のテーマは「『地域医療』×『総合診療』×『改革』」。午前中に3つのワークショップを同時進行で開催し、午後に会場を移して3つの講演が順次行われた。
ワークショップ1は、佐田尚宏氏(新小山市民病院)が「改革を継続するために組織文化を醸成する」をテーマに講演。同2では、田崎健太氏(ノンフィクション作家)が「病院を強くする広報」について、また、同3では塩﨑英司氏(国立大学病院長会議)が、「急性期病院の経営と今後の展望」について講演を行った。いずれも終了後にトークセッションが行われた。
会場を品川ザ・グランドホールに移して行われた講演会では、まず日色 保氏(ウォルト・ディズニー・ジャパン)が登壇。「これからの社会に求められる組織文化とリーダーシップ」を演題に講演した。同氏は、前職であるジョンソン・エンド・ジョンソンと日本マクドナルドの経営者としてのリーダー経験をもとに、病院経営にも通じる経営トップのリーダーシップ発揮のあり方などについて語った。
続いて、大杉泰弘氏(藤田医科大学)が「地域と医療をつなぐ総合診療」と題して講演した。同氏は「中小病院の新しい価値」と「総合診療という新しい専門医」を話題に掲げ、前者は自ら推進した豊田地域医療センターの病院改革、後者は現在、藤田医科大学総合診療プログラムで行っている総合診療医育成について説明。「中小病院は今後、総合診療のスペシャリティを活かせる場を目指すことが、自らの変革と未来につながる」とした。
最後に登壇した服部智任氏(海老名総合病院)は、「地域医療の未来をデザインする病院経営」について語った。同氏は今なぜ病院が、変化を前提とした将来設計である“デザイン経営”を必要とするのかについて述べた後、自身が病院長として10年間かけて実践してきた病院改革について、このデザイン経営の視点から振り返った。
その後、デザイン経営を行うために不可欠な“アート思考”という視点について言及。「数字や物事などの裏に隠されたものに目を向ける発想」と定義づけた上で、「今までの病院経営は、数字だけを見て診療報酬や政策に合わせて提供する医療を決めてきたが、これからは病院自身が地域に何を提供すべきかの答えを探し出さなければならない。混沌とした時代において、アート思考は“経営の技術”であり、技術である以上、必ず習得できるはず」と結んだ。
