島津製作所

島津製作所

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機能を高めた新製品に加えて、”分析の島津”ならではの製品も

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主要モダリティメーカーが占める会場奥の一画を占めた島津製作所ブース。持続可能な世界を実現するための国際的な開発目標である17の項目からなるSDGs(Sustainable Development Goals)が2015年の国連サミットで採択されたが、同社は、今回の展示に強くこのSDGsへの貢献を紹介していたことが印象的であった。例えば、主要展示物の横のパネルには、必ずSDGsのいずれの項目に貢献しているのかという説明がSDGsのピクトグラムと共に示されていた。主な展示製品を以下に紹介する。
●[新製品]「RADspeed Pro style edition EDGE package」
同製品は、4月5日に発売されたばかりのX線一般撮影システム「RADspeed Pro style edition」シリーズの内の最上位機種である。なお、「RADspeed Pro style edition」シリーズ従前よりあった「RADspeed Pro」のマイナーチェンジともいえるが、ほぼ新製品と称せられるほど機能を向上させている。
 特長として挙げられるのは、充実したオプション群と柔軟なシステム構築性である。
操作性は、定評ある「RADspeed Pro」で培われてきたものを踏襲しつつ、さらにブラッシュアップを果している。例えば、展示の「EDGE package」では、X線管保持部の上下連動機能が可能としている。撮影スタンドや撮影テーブルの高さを調節すると、X線管保持部が自動的に追従し、ポジショニングの効率があがった。同機能により、人が少ない夜間でも診療放射線技師一人でできる撮影の範囲が大きく広がった。これも、前述のSDGsの働き方改革への貢献という。
オプション群としては、トモシンセシス、全身対応の長尺撮影、デュアルエナジーサブトラクションに対応する基本性能をベースに、使い易さを追求したオプションを拡充している。例えば、逐次近似法を応用した新しい再構成法T-Smart(Tomosynthesis-Shimadzu Metal Artifact Reduction Technology)は、金属近辺のアーチファクトをより低減させ、人工関節や金属近辺の骨の状態をさらに明瞭に描出する。世界で3,000万人いるという変形性関節症の人工関節置換術後の評価に期待される。また、ケーブルガイドは、ガイド内にケーブルを収納して天井レールと一体化させることで移動性を向上させている(写真下)。
なお、既設のX線撮影装置でも、ソフトウェア(PC)の追加で、断層像が取得できる新たなトモシンセシスのユニバーサルトモシンセシスも開発中である。


血管撮影装置「Trinias C16 unity edition」
 島津製作所の最も目立つ場所に展示されていた血管撮影装置「Trinias C16 unity edition」。16×12インチFPDを搭載し、頭部、腹部、四肢から心臓領域の治療まで、全身に対応する。昨年、チルト寝台を追加して機能を大きく高めたが、新たに「低侵襲カテーテル治療Minimally Invasive Experience」をコンセプトに新開発された下肢全域を見やすく表示するSCORE Chaseが追加された。SCORE Chaseは、血管走行を追い長手・横手方向に自由にパンニングしながら撮影を行い、撮影後に自動で長尺画像を作成する技術。撮影後に長手・横手方向に位置補正された長尺画像が瞬時に自動作成されモニタ表示されるため、下肢血管走行の全体把握が容易に行える。また、長尺DSAとロードマップ機能の融合が、低被ばく化と造影剤低減を実現する。従来の手法と比較して、X線量を約20%、造影剤は約35%削減できるケースもあるという。

●【新製品】画像・分析結果融合記録システム「AVS支援システム」
 上記、血管撮影装置「Trinias C16 unity edition」のすぐ奥に展示されていたのが、「AVS支援システム」である。AVSとは「Adrenal Venous Sampling:副腎静脈サンプリング」の略。血管撮影システムによって得たX線画像と液体クロマトグラフ質量分析計システムによる分析結果を融合記録して、効率的かつ迅速な血液分析を実現する。分析技術で世界的にも評価の高い島津製作所であるが、社内の医用画像との融合は他社にはない価値を創造したといってよいだろう(東北大との共同開発)。なお、本システムは、X線画像と分析結果を融合して記録するソフトウェア「Sampling Viewer」(写真上)、液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8050」システム&制御用ワークステーション、LC-MS用ソフトウェア「AVSsolution」で構成される(写真下)。
 手順としては、まず血管撮影システムで透視しながらカテーテルで副腎から採血し、その位置を「Sampling Viewer」でX線画像上に記録。その後「LCMS-8050」で成分を分析し、「AVSsolution」でデータ処理することで、採血部位ごとのX線画像と質量分析装置による分析結果を紐づけ登録する。これは世界初であるという。
 なお、世界では高血圧症患者が4000万人いるが、その内10%が、カテーテル治療が有効な原発性アルドステロン症であり、その同定が可能になることの意義は極めて大きいという。研究用途を対象に4月9日発売を開始した。


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