JRC2016

 放射線医療関連の国内最大イベントである「JRC2016」が、4月14~17日の4日間、横浜市・パシフィコ横浜で開催された。主催は一般社団法人日本ラジオロジー協会。同イベントは第75回日本医学放射線学会総会(JRS)、第72回日本放射線技術学会総会学術大会(JSRT)、第111回日本医学物理学会学術大会(JSMP)、2016国際医用画像総合展(ITEM2016)の合同イベントである。なお、JRSの会長は玉木長良氏(北大)、JSRTの大会長は小倉明夫氏(群馬県立県民健康科学大)、JSMPの大会長は荒木不次男氏(熊本大)が務めた。メインテーマは、「Instructive,Innovative,and Integrative Radiology(まなび、のばし、つなげる放射線医学)」。それぞれの学会で数多くの講演・口演が実施され、3学会合同のシンポジウムなども多数行われた。
 学会の総参加登録者数は、前年を上回る1万2512人(前年比101%)となり、特にJRSは初めて5500人を突破した。一方、「ITEM2016」の来場者数は直前に起こった「平成28年(2016年)熊本地震」の影響もあって、昨年を下回る2万864人に留まった。
 来年の「JRC2017」は、メインテーマを「To the Summit of Radiology、To the Horizon of Radiology(極めよう放射線医学、広げよう放射線診療)」とし、第76回JRSの会長は角谷眞澄氏(信州大)、第73回JSRTの大会長は宮地利明氏(金沢大)、第113回JSMPの大会長は野田耕司氏(放医研)。会期は、2017年4月13日(木)~16日(日)、パシフィコ横浜で開催する予定である。
<合同開会式&演奏会>
 アンサンブルデュナミスによる弦楽アンサンブルにより開幕。主催者代表として、杉村和朗・日本ラジオロジー協会(JRC)代表理事、玉木長良・日本医学放射線学会総会(JRS)会長、小倉明夫・日本放射線技術学会総会学術大会(JSRT)大会長、荒木不次男・日本医学物理学会学術大会(JSMP)大会長、ITEMを運営する日本画像医療システム工業会(JIRA)小松研一会長が紹介され、杉村氏が代表して挨拶し、各大会長による基調講演が行われた。また、宇宙飛行士の山崎直子氏による合同特別講演「宇宙、人、夢をつなぐ」が行われ、国際宇宙ステーション滞在時のエピソードなどが語られた。
<基調講演>
 JRS会長の玉木長良氏は、JRS総会の歴史を紹介し、心筋血流SPECTとCTの融合など自身の専門分野である核医学の例を挙げながら次のように述べた。「医療費が増大し続ける中で、これからの医療に求められるのは、エビデンスに基づいた医療、行った治療が本当に有効かという的確な判断、病態に基づいた個別化医療である。放射線医学の進歩には、装置の改良、解析法の進歩、薬剤の開発、新しい臨床応用の4輪が必要である。この4輪がうまく回転することによって、放射線医学は明るい未来が拓けるのではないか」。
<冒頭挨拶>
 JRC代表理事の杉村和朗氏は、合同開会式で冒頭挨拶を行った。まず熊本地震へのお見舞いを述べ、次のように語った。「JRCは、JRS、JSRT、JSMPおよびJIRAの4団体が力を合わせ長年にわたって作り上げてきた。近年は、RSNA、ECRに続く第3極を担うという目標を持ち、グローバル化への対応も行っている。先ほどITEM会場で海外からの来場者を多数見かけ、国際的になってきたことを感じた。『まなび、のばし、つなげる』というテーマに基づき、今後放射線医学が大きく発展することを信じている」。
<シンポジウム>
 日本医学放射線学会(JRS)では、9つのシンポジウムを実施。シンポジウム6「悪性脳腫瘍に対する放射線治療戦略と治療前後の画像診断の役割」では、今大会で多かった放射線画像診断医と放射線治療医によるコラボレーション企画の1つとして開催。放射線画像診断医、脳神経外科医、放射線治療医それぞれの立場から、悪性脳腫瘍の治療における画像診断のあり方について、5人のシンポジストが講演した。
<特別企画>
 JRSの特別企画は、2題開かれた。特別企画2「海外を目指す人へ-海外で活躍する日本研究者を囲んで」では、江原 茂氏(岩手医大)を司会に、幡生寛人(Brighamand Woman’s hospital)、簑島 聡(University of Utah)、安西好美(同)、西野水季(Dana-Farber Cancer Institute)、佐藤 豊(University of Iowa)、小林久隆(National Cancer Institute)、樋口隆弘(Universitaetsklinikum Wuerzburg)の各氏が海外での医療研究の体験を踏まえ、これから海外医療機関で臨床や研究に取り組もうという人たちへのアドバイスを示した。また会場からは、「日本に戻らないことを決めた最大の理由は」「海外へ行くと決めたモチベーションは」「留学すべきタイミングは」などの質問が寄せられ、回答がなされた。
<イメージインタープリテーションセッション>
 参加者からの人気が高いイメージインタープリテーションセッションでは、正答率2%といった難問をはじめ、各領域から7問が出題され、回答者や参加者の頭を悩ませた。回答者100名の中で4.5点を獲得した田川 弘氏(市立岸和田市民病院)が、1位を獲得した。
<ランチョンセミナー>
 合計31のランチョンセミナーが行われた。東芝メディカルシステムズは「心血管領域における320列面検出器CTの最新臨床応用」をテーマに、3名の演者が登壇。隈丸加奈子氏(順天堂大)は「320列面検出器CTの臨床応用(冠動脈)」、前田恵理子氏(東大病院22世紀医療センター)は「成人および小児循環器領域におけるFIRSTの臨床応用」、真鍋徳子氏(北海道大病院)は「320列面検出器CTの臨床応用(心筋)」を演題とし、講演を行った。シーメンスヘルスケアの「yes,DS!実臨床でのPersonalized Low Doseの実践」では、司会に杉村和朗氏(神戸大)を迎え、本邦での稼働10周年を迎えるDual Source CTの有用性について、小児循環器領域に関して佐藤修平氏(岡山大)が、泌尿器科領域について高橋 哲氏(神戸大)がそれぞれ講演した
<合同シンポジウム>
 3学会が合同で開催する合同シンポジウムは、「次の25年の放射線医療の進歩を見据えて」「医療被ばくの線量評価と管理」「造影剤が放射線医療にもたらした功績」の3題が行われた。合同シンポジウム1「次の25年の放射線医療の進歩を見据えて」では、6人の演者が放射線診断、IVR、放射線治療、医学物理分野、放射線技術の各専門分野の25年後の展望を語った。
<CyPos>
 CyPosに関するViewing Areaには多くの参加者が閲覧エリアを訪れ、PCを操作して発表演題の内容に見入っていた。CyPos賞では、第75回日本医学放射線学会総会のPlatinum Medalに平木隆夫氏(岡山大)が、第72回日本放射線技術学会総会学術大会のPlatinum Awardsに荒川弘之氏(帝京大)が、第111回日本医学物理学会学術大会の大会長賞に伊良皆 拓(京大)ら8名がそれぞれ受賞し、最終日に合同表彰式が行われた。
<日本放射線技術学会>
 シンポジウム1「Technical Problems of Wireless Type Portable Flat Panel Detector」では、ワイヤレスタイプ可搬型FPDの技術的諸問題について、西端 豊氏(大阪医大)ら4名の診療放射線技師と、無線LANについてネットワークベンダの立場から小田直之氏(アライドテレシス)が講演し、同装置の運用によるメリットと課題を説明した。会場には多くの参加者が集まり、立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。
<日本医学物理学会>
 The 111th JSMPシンポジウム「医学物理領域におけるモンテカルロシミュレーションの応用」では、4名の演者が放射線照射や核医学領域に関するモンテカルロシミュレーションの有用性と課題について講演。その後、座長と参加者を交えて活発なディスカッションを実施した。
<2016国際医用画像総合展(ITEM2016)>
 我が国最大の医用画像に関する展示会「2016国際医用画像総合展」(ITEM2016)は、4月15日~17日の3日間、各学術大会と同時にパシフィコ横浜展示Aホール(一部)と、B、C、Dホールで開催された。画像診断装置・周辺機器などを中心に、159社が出展した。展示総面積は昨年より207㎡増の8918㎡。例年、大手ベンダーブースが会場の外周を囲む配置だったが、昨年と同様に2社が全方位で展示を見られる形をとった。
 展示会初日の4月15日に、一般社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA)の小松研一会長の記者会見が行われた。小松氏は「2016年度JIRA活動基本方針」の中で次のように述べた。「画像医療システム産業を取り巻く事業環境や社会ニーズは、急速な変化を続けている。JIRAはそうした状況に対応し、2016年度の活動基本方針を示した。①『地域包括ケアシステム』構想に向けた画像医療システム産業発展への貢献 ②ICT技術を活用し、医療に貢献 ③医療、医療システムの国際展開を支援 ④JIRA基盤活動の充実と事業拡大に向けた活動強化であり、これらを主軸として推進していく。①は、がんの早期診断・治療、循環器疾患での早期侵襲診断・治療、精神疾患での早期診断など、新領域における画像診断装置の市場拡大に向けた規制緩和、国際標準化を推進する。②は、ヘルスケア領域でのビジネスモデルの検討と事業拡大や医療機器としての単体プログラムや医療ICTでの市場拡大に向けた規制緩和、国際標準化を推進する。③は、DITTA(国際画像診断治療機器業界会議)の議長国として、規制・規格の国際整合についての中期的な活動計画を制定、また医療システムの海外輸出に連携し、新興国の市場情報収集を行う。④は、画像を含む医療情報の利活用拡大など、医療体制の変化に伴う他団体との連携強化のために、協議会設立などの検討推進を行う。これらを活動基本方針に基づいて積極的に取り組み、画像医療システム産業を強力に推し進めていく団体として、これからも行動していく。 


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