第46回日本Mテクノロジー学会/一般社団法人化を記念し、今後の学会の進む方向性を議論

  第46回日本Mテクノロジー学会が8月25日、キャンパスイノベーションセンター東京(東京・港区)で開催された。大会長は土屋喬義氏(土屋小児病院)、プログラム委員長は土井俊祐氏(東大病院)、実行委員長は西山 強氏(iKHコンサルティング)がそれぞれ務めた。同大会のテーマは、「一般社団法人日本Mテクノロジー学会始動~学術と技術の橋渡し」。
 同学会は、1975年のMUMPSユーザーグループ発足を嚆矢とし、データベース言語のM言語についての利用応用・利用技術・アプリケーション・教育などを考えるための活動を行ってきたが、今年から一般社団法人化することとなった。今大会の大会長で、同学会代表理事でもある土屋氏は開会挨拶でこの点に触れ、「本学会の一般社団法人化に伴い、学術と技術、相互の交流を図り、今後のIT技術の進展に貢献していきたい」と述べた。
 午前中の一般講演セッションでは、次の4題が行われた。
▽「SNSアカウントを利用したユーザー認証システムの検討」土屋喬義氏▽「簡単な頭の体操ができる計算パズルゲームの開発」山本和子氏▽「継続的な健康イベント実施におけるICFを用いた個人健康記録管理システムの構築」櫻井理紗氏(国立循環器病研究センター)▽「CSPを利用した類似症例報告検索システム-7年間の運用実績」土井俊祐氏
 このうち、土井氏は、2011年6月に日本内科学会に提供した類似症例検索システムの7年間の運用実績および利用実績を紹介した。
 同システムは「PINACO(Patients Inquiry in Naika-gakkai Ar-chives by COntext)」と名付けられ、2018年6月現在で症例報告数は5万3572件が登録されており、7年間の総検索回数は8719回、1ヵ月平均で101.4回の利用実績があったことを報告。利用者アンケートでは、一定以上の評価が得られているとし、今後は、ディープラーニングなどの最新技術を組み込んだ検索アルゴリズムを採用して、利便性の向上を図ると述べた。
 午後には、大会長講演が行われ、土屋氏が「一般社団法人日本Mテクノロジー学会のご紹介」と題して講演。土屋氏は、まず日本Mテクノロジー学会の沿革について説明。一般社団法人化にあたり、同法人の目的および主な事業内容を説明し、今後はM言語だけでなく、これに関する情報システムの研究にも取り組むと述べた。
 特別講演では、大会テーマに則り、ベンダ(技術)側から漆原 茂氏(ウルシステムズ代表取締役社長)が「実は最先端!トレンドの一歩先を行くInterSystems IRISの先進性と可能性」と題して講演した。漆原氏は「データベース大乱立時代にあって、40年以上の歴史を持つInterSystemsのデータベースは、時代の最先端をいく優れたシステムである」と述べ、インターシステムズ社の最新型DBプラットフォーム「InterSystems IRIS」を高く評価。その具体的証左として、ウルシシステムズが同プラットフォームを活用し構築した大手証券・金融系システムの事例をあげ、その有用性を強調した。
 大学(学術)側からは、鳥飼幸太氏(群馬大病院システム統合センター副センター長・准教授)が「群大病院における病院システムならびにアラートシステムの設計と実装」について講演。まず、同大病院で構築した病院情報システムにおける設計と実装について説明。そして、情報システムによる省力化で医療スタッフの時間を創出することが重要と述べ、1日10分の時間創出が年間2億円分のマンパワー創出に貢献すると訴えた後、旧システムの30倍以上の性能を発揮するシステム構築によって、ストレスフリーな電子カルテ環境を構築できたと述べた。
 その後、「日本Mテクノロジー学会技術部会の立ち上げについて」をテーマに大会企画技術セッションを開催。吉本則夫氏(キヤノンメディカルシステムズ)、鈴木利明氏(日本ダイナシステム)、小畑 誠氏(データキューブ)、西山 強氏、佐藤比呂志氏(インターシステムズジャパン)らが「Mだから出来ること、Mだけでは出来ないこと」と題して自身の経験や考え方を披露し、会場の学会参加者を交えたディスカッションが行われた。


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