医療・ヘルスケア分野に特化した国際見本市を大阪で初開催
医療・ヘルスケア分野に特化した国際見本市であるJapan Healthが6月25日~27日の3日間、インテックス大阪(住之江区)で初めて開催された。
同見本市は、大阪万博2025の関連イベントとして開催され、国内外の医療機器メーカー、スタートアップ、研究機関、行政機関など、ヘルスケアに関わる専門機関・関係者が数多く参加。日本が誇る技術やサービスを世界に発信し、産業の活性化・国際競争力の向上・イノベーションの創出を目指すもので、約20ヵ国から425の企業・団体が出展した。また、企業・団体による展示の他、国内外のヘルスケア業界のオピニオンリーダーによる最新の医療技術や業界動向をテーマにしたカンファレンスをはじめ、出展者によるプレゼンテーションなど多彩なプログラムが組まれた。来場者は最先端のソリューションや画期的な技術を体験でき、出展者との交流を図れるなど、活気あふれる場となった。
“サステナブル”をテーマにした医療機関の取り組みを紹介
26日(木)のランチョンセミナーでは、同見本市のPlatinum Sponsarであるフィリップスによる「医療現場のサステナビリティ:医療機関とホームケアの視点から」が開催されたので、同セミナーの内容を紹介する。
はじめに、加古信雄氏(あいち健康クリニック理事長)が「クリニックから始める持続可能な医療づくり-ヘリウムフリーMRI導入の現場から」と題して講演。加古氏は自身が運営する「あいち健康クリニック」の概要の紹介に続いて画像診断機能強化の重要性とMRI導入を決意した背景を説明した。MRI選定の基準については、①快適な検査環境づくり、②受診者の制約を極力抑える、③短時間の検査で高画質な画像を得る、④BCP対策を含めた安定稼働の実現-を挙げ、それらに適したMRIとしてフィリップス製1.5TヘリウムフリーMRI「MR 5300」を選んだとした。さらに加古氏は、「MR 5300」の有用性を紹介した後、同装置による脳神経領域や腹部/骨盤領域を中心とした同施設の検査内容を解説。導入の効果について検査件数の増加と、検査時間短縮を強調。今後の展望として膵がんや冠動脈疾患の早期発見、冠動脈クリニックや中核医療機関との連携強化を挙げた。
同セミナー後半では、前田浩利氏(医療法人財団はるたか会理事長)が「日本における医療的ケア児への在宅ケア」と題して講演。前田氏は、恒常的な人工呼吸器による呼吸管理や喀痰吸引その他の医療行為が必要な児童、医療的ケア児の医療の現状を説明したのに続き、NICU満床問題等の課題や、それらに対する医療的ケア児支援法の成立を含む政策上の支援の現状を紹介した。
続いて、戸谷 剛氏(医療法人財団はるたか会あおぞら診療所うえの院長)が「お子さんの暮らしと成育の機器を支える災害ロジスティクスから呼吸を中心に~」を演題に講演。まず、医療的ケア児への具体的な診療の様子を写真などで紹介した後、同診療には電源及び充電・電池が必要なデバイスが多岐にわたりあることを説明。一方、現在、日本で頻発する災害に対し、医療的ケア児に対する災害ロジスティクスの構築が不十分であるとことを指摘し、医療・制度・地域・ICTを統合した効果的な災害支援づくりが必要であると訴えた。
「Japan Health」は、来年から「WHX(World Health Expo) Osaka」と名称を改め、同じくインテックス大阪にて、2026年6月24日~26日にかけて開催する予定である。