富士フイルム/「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」新開発

富士フイルム/「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」新開発

 富士フイルムは、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE(シナプス)」上で、CT画像からの臓器自動抽出や骨の経時変化表示など、人工知能(AI)技術を活用した画像診断ワークフロー支援を実現するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」(*1)を開発した。なお、本年7月の発売(予定)に先駆けて、4月12日~14日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2019 国際医用画像総合(ITEM2019)」に本システムを出展する。

日本は諸外国と比べて、人口に対する医療機関のCT、MRI導入数が多くモダリティが充実している一方、画像診断の専門医の人数が少ないのが現状である(*2)。また、多列CTなど高性能な画像診断装置の普及によって読影する画像が増えており、医師の効率的な画像診断を支援する、AI技術を活用したソリューションへの期待が高まっている。

今回開発した「SYNAPSE SAI viewer」は、富士フイルムのPACS「SYNAPSE5」と接続して使用するもので、AI技術を活用して自社開発した以下3つの画像診断ワークフロー支援機能を搭載している。7月の発売以降も、「SYNAPSE SAI viewer」で利用可能な新たな機能を継続的に開発し、追加アプリケーションとして提供していく予定。また、パートナー企業のアプリケーションも追加で提供していく予定である。

<本年7月発売時点の「SYNAPSE SAI viewer」の画像診断ワークフロー支援機能>

① 臓器抽出機能およびラベリング機能
CT画像から肝臓・腎臓・脾臓などの臓器構造を自動で抽出。個人差により形状が異なる臓器も自動で抽出することができる。
頸椎、胸椎、腰椎、肋骨をおのおの自動抽出し、医師が疾患の場所などを指し示す際に引用する「骨番号」を自動的に付与し、CT画像の上に重ねて表示する。これにより、骨が見分けにくい画像での番号の振り間違いを抑制するとともに、医師の作業負荷を軽減させる。

② 骨経時サブトラクション機能
同一患者において、過去に撮影したCT画像と現在のCT画像の骨構造の位置合わせを行い、CT値(*3)の変化を経時的に可視化することができる。

③ Virtual Thin Slice(バーチャル シン スライス)機能
一般的な読影に使用されるスライス厚5mm程度のCT画像「Thickスライス」から、スライス厚1mm程度のCT画像「Thinスライス」を仮想的に生成する。仮想的に生成したThinスライスを活用することで、CT画像を再構成して作成するサジタル像(体を縦に切った像)とコロナル像(前後に切った像)において、骨の視認性を高めたり、3D表示の画質を向上させる。
さらに、「SYNAPSE SAI viewer」は、高速で3D画像の回転・拡大・縮小などの操作ができる。これにより、画像診断における診断効率の向上と医師のストレス軽減に貢献する。

富士フイルムは、医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、そして医療機器の保守サービスに活用できるAI技術の開発を進め、これらの領域で活用できるAI技術を、“REiLI(レイリ)”というブランド名称で展開していく。今回発表の「SYNAPSE SAI viewer」は、本ブランドを使用する。

さらに富士フイルムは、自社でのAI技術開発に加えて、優れたAI技術を有する国内外のベンダーとのパートナーシップによる開発を推進する。今後もAI技術を活用することで、画像診断における医師の診断支援やワークフローの改善に取り組んでいく。

*1 「SYNAPSE SAI viewer」の画像診断ワークフロー支援機能の開発には、AI技術(ディープラーニング)を活用。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。「SAI」は、Smart Advanced Imagingの略。

*2 経済開発協力機構の主要統計より (https://www.oecd.org/tokyo/statistics/#Health)

*3 CT検査において、被写体の中の小さな単位容積内における物質のX線吸収値。CT値が高い部分は、硬い状態であることを意味する。

問い合わせ先=富士フイルムメディカル 営業本部 マーケティング部
TEL:03-6419-8033

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