NECと東京科学大学/患者中心の医療・ヘルスケアサービス創出基盤となるバーチャル医療・ヘルスケアシステムの実現に向けた協定を締結し、研究開発を開始(25.7.23)
日本電気(以下 NEC)と国立大学法人東京科学大学(以下 東京科学大学)は、患者中心の医療と医療従事者の能力を最大限に発揮できる業務環境の実現に向けて、仮想空間上で医療関連データの流通を可能とするバーチャル医療・ヘルスケアシステム構築に関する協定を締結し、研究開発を開始した。また本取り組みを推進するため、医療関連の研究者や、スタートアップから大手まで様々な企業を対象とした共創コミュニティを2025年度内に立ち上げる予定。
厚生労働省による地域医療構想や地域包括ケアシステムなどの政策により、複数の医療機関や様々な医療・介護制度に跨ったサービスの提供が始まっている。しかし、疾患毎に異なる診療プロセスや見守りを患者中心で行うための情報管理の仕組みは整備されておらず、また患者中心の医療・ヘルスケアサービスに必要な要素技術・サービスに関わる新規スタートアップの創出や、優れたアイデア・技術を有効活用する方法も求められている。
NECと東京医科歯科大学(現・東京科学大学)は2020年に、「ヘルスケア領域における新たなサービス事業の創出・推進に関する連携協定」を締結し、一人ひとりの健康状態に合わせた身体のケアサービスを提供する「NECカラダケア」の運営や、AIによる慢性腰痛のセルフケア支援技術の開発などを行ってきた。
このたび本連携を発展させ、NECが有する最先端AI技術や医療情報システムの構築およびサービス提供ノウハウと、東京科学大学が有する医療・ヘルスケアの知識や工学的知識を融合し、バーチャル医療・ヘルスケアシステムを構築する。これにより、予防医療から急性期、慢性期、介護までをシームレスに繋いだ疾患毎に異なる患者中心のサービスや、医療従事者の能力を十分に発揮できる業務環境の実現を目指す。
具体的な取り組みとして、病院内・外に存在する医療・ヘルスケア情報への容易なアクセスと安全な情報共有を実現するデータ基盤や、データ収集用デバイスの開発などを行う。また将来的には、蓄積したデータを製薬企業や医療関連のセンサー開発企業などに提供する事業も検討していく。
併せて、本取り組みを推進するための共創コミュニティを2025年度内に立ち上げ、医療関連の研究者やスタートアップに、研究フィールドや企業とのパートナリングおよび市場・顧客へのアクセス機会を提供するなど、効率的な事業参入を支援する環境を整備していく。
具体的なテーマとして、NECカラダケアや、東京科学大学・綜合警備保障(ALSOK)グループ・エヌジェイアイが出資し設立した慢性期(在宅、施設内)の医療・介護サービスの研究フィールドを提供する科学的看護・介護研究機構(通称:カガクル)などを通し、両者が取り組んでいる既存のサービスの高度化や、医療的ケア児および難病患者にかかるサービスの提供から始め、データの収集と活用を進めていく。これらを通じて事業性を見極めながら、新しいテーマや領域にも取り組んでいく。
NECは、病院や施設での医療サービスから生活者中心のホームケアへのシフトに対応し、疾患リスク予測や、患者のコンディション可視化・予兆検知により行動変容や適時介入を支援するサービスを提供し、患者と医療機関を結ぶ取り組みを進めている。今後、本共同研究の成果などをもとに次世代の医療・ヘルスケアモデル構築を目指し、生活者一人ひとりに寄り添う社会の実現に貢献していく。
東京科学大学はこうした取り組みを通じ、予防、急性期、慢性期、看取りを包括的に研究できる研究フィールド構築し、医工連携、産学連携の様々な取り組みにより患者中心の医療・ヘルスケアサービスの創出に貢献していく。
問い合わせ=
■NEC 医療ソリューション統括部 ライフスタイルサポートグループ
E-Mail:contact_vh@lss.jp.nec.com
■東京科学大学 国際医工共創研究院 医療工学推進コア
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